沈黙の者たちのまぬままおまのネタバレレビュー・内容・結末

ブリリア短編。

底引き網漁に従事する彼ら。なかなか魚が捕れず、このままでは赤字になってしまう。それではいけないと考える船主とジョリック。彼らは、禁止されている場所での密漁を行おうとするが…

引き上げられたのは大量の魚。赤字を挽回できると意気揚々の彼らだが、なんと小さな女の子の死体も引き上げてしまう。彼女が死んだことに彼らの責任は全くない。しかしこのまま死体を報告すれば、密漁がばれてしまい本当の「犯罪」になってしまうし、魚を棄ててしまえば彼らの生活が脅かされる。

彼らは葛藤する。船上では倫理が試される。開かれた密閉空間では、不正が行われやすい。しかし彼らは魚を棄てる。黙々と棄てる。漁師としての、人としての気概だ。だがジョリックが黙々と少女を棄ててしまう。それは彼が生活のためにとった行動だろうけど、彼は船主に密漁を提案したわけだし、はじめから倫理観は欠如していたのかもしれない。

でもジョリックの死体遺棄に「沈黙」する彼らも大概だ。このように「罪」は生じてしまうのだと思うが、私があの場にいて沈黙しないかと言えば自信はない。