Tambo

天才ヴァイオリニストと消えた旋律のTamboのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

一般客の興味をひく、という点ではうまく作られた邦題だ。しかし原題の"The Song of Names"がこの映画の主題。そこに気が付く観客がどれくらいいるのかが気に掛かるところではある。
なぜ、"The Song of Names"というタイトルがつけられたのか、訝りながら映画を観進めていたが、その意味がわかる場面に来て、涙があふれた。
ドヴィドルが残した手紙は、映画を観終わったあとも石のように私の心に重く残った。本当に慕うひとからこのような手紙を受け取ったら、残されるものにとっては死別よりつらいのではないか。
中年のドヴィドルを演じた俳優は、ユダヤ教のポッドキャストのインタヴュアーから絶賛されていた。これまで見たことのないクライヴ・オーウェンの姿は、まさに神の重さを肩に背負う憂鬱な表情をした正統派ユダヤ教徒を体現しているのだ。
世俗の名誉を捨てて信仰に埋没するという行為は、日本人には馴染みのないものだが、その決断に至る悲劇や残される者への衝撃をこの映画は実感させてくれる。
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