MayumiM

天才ヴァイオリニストと消えた旋律のMayumiMのレビュー・感想・評価

2.9
ドヴィドルの家族が三大絶滅収容所の一つであるトレブリンカから生還していたら、ドヴィドルはデビューコンサートを無事に終え、どころかシモンズ家の息子となって世界的ヴァイオリニストとして活躍してたかもしれない。
そして、ドヴィドルが35年後のコンサートで理解したのは、民族の苦悩は結局はその民族にしか理解できない、という哀しい現実だったのかもしれない。

ともあれ、手がかりは思い出だけ、という繊細さで引っ張った物語が割と早い段階で解決してしまったのはちょっと拍子抜け。くだんの歌がクライマックスだというのは判るんだけど、ソコに至るまでの尺が行方不明だったドヴィドルをさがすという前半と同じリズムだという点が間延びにしか感じられなくて残念な印象。
何より、ナチス・ドイツをネタにしておきながら被害者であるドヴィドルをある意味で裏切り者にしてしまってるのが納得しづらかったかも。
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