みんと

由宇子の天秤のみんとのレビュー・感想・評価

由宇子の天秤(2020年製作の映画)
3.8
う~ん、かなり社会派作品だった。
正義とは?よりもむしろ報道の在り方に踏み込んだ作品に思える。

今や情報は全てネットで手に入る時代。本人さえ精査する意識があれば誤った情報に惑わされ真実を見る目を曇らせることも無い。
…とは言え、若者のテレビ離れは顕著だけれど問題となるのはテレビの情報に左右されやすい年代だと思う。再三に渡って垂れ流される映像や偏った情報には言わば無意識の洗脳、いわゆる印象操作が行われるのは なにもロシアだけの話じゃないと思う。

知らず知らず自分にとって肯定的な情報だけを受け入れる意味ではネット上だって同じだけど。

場合によっては映画のドキュメンタリー作品ですら、どこかで常に制作側の意図を読んでしまう私だけれど、意識する事をやめたらたちまち脳に刷り込まれる。しかも、歪んだ記憶として頭に残り続ける場合も。

“どちら側の人間なんだ!“と詰め寄るシーンが印象的だった。
どんな職業にも少なからず共通する、正しさとお金のバランス。そのジレンマはもはや個々の生き方に委ねられるとも。

例え正義を持ったジャーナリストであれ、ならば身内で事件が起こったならどうする…
父親の件は、個人的にはどこか説得力に欠け違和感すら感じたけれど、同じく報道側で見た時、或いはの由宇子の立場に立った時、簡単に答えは出なかった。

同時期上映されてた『空白』よりもある意味直球で問題提起された作品だった。
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