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由宇子の天秤のたむたむのレビュー・感想・評価

由宇子の天秤(2020年製作の映画)
3.6
「私は誰の味方にもなれません。
   でも、光を当てることは出来ます。」

『火口のふたり』で第93回キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞を獲得した瀧内公美が主演を務めた、春本雄二郎監督による社会派ドラマ。
フォロイーさんのレビューをキッカケに鑑賞。

女子高生いじめ自殺事件の真相を追うドキュメンタリーディレクターの女性が、高校学習塾を経営する父のある行動によって、常に正義を追い求めてきた彼女の信念が大きく揺らぎ、究極の選択を強いられていく。

【真実は人の数だけある】
本作を観て、『ミステリという勿れ』の主人公・整くんのこの名台詞を思い出しました。事実は「誰から見ても不変的な実際に起きた出来事」であり、対して真実は「事実に対する人それぞれの考えや解釈」。事実は客観、真実は主観。ゆえに真実は人の数だけ存在する。

人それぞれに真実があり、印象操作や先入観で簡単に事実を捻じ曲げることができてしまう。インターネットやSNSが当たり前となった今なら尚のこと、改めて恐ろしい時代だなと。
だからこそ日々、情報を受け取る側の私たちが取捨選択をし、いかに正しく物事を見極めるか、その重要さを問うているように感じました。
「ドキュメンタリー」の概念を打ち砕き、マスメディアの在り方を鋭く抉る。ラストについても様々な解釈ができそうです。

全編通して重苦しく、息の詰まるような展開。
ただ個人的には、勿体つけるような無音の”間”が多くあり、やや間延び感は拭えず。もう少しコンパクトに纏まっていたら良かったかも。。

小畑萌役が、いまリアタイしてるドラマ『ふてほど』の純子を演じてる河合優実だったとは(o_o)
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