hoshikazukanjo

アントマン&ワスプ:クアントマニアのhoshikazukanjoのレビュー・感想・評価

3.6
記念すべきフェイズ5の幕開けだというのに、今となってはすっかり神7の抜けたAKB48みたいになってしまっているMCU。これからはケビン・ファイギと秋元康のどっちがプロデューサーとして巧いのかを楽しむしかない。MCUの用意するサプライズが「スペシャルゲスト投入」(とそれゆえのネタバレ厳禁)しかなくなってきているのが、もう飽和状態。だから最近は、いずれくるであろう(と信じている)映画的スペクタクルによるサプライズを楽しむために、惰性で見続けているようなものだ。以前のように「MCUの新作だ!!初日の朝の回で観るぞ!!」という意気込みは無くなり、近くの映画館で、ちょうど良い時間に上映していた吹替で観た。

アントマンの戦闘シーンにおける魅力は、自由自在に物質のサイズを変えてしまうところ。それによってカメラを切り替えずして画面サイズをロングにしたりアップにしたりと、他にはない動きに満ち満ちている。だけどそれも(もともとMCUが得意としていた)白昼だからこそくっきり目立つわけで、本作のようにVFXで構築された暗いトーンの画面が続くようじゃよく見えない。

あとそろそろ戦争終わらせたいよ…。現実世界でも、どれだけ反省したと思っても、次から次へと戦争が起き続けるから、そういう意味ではMCUのこの状況も“リアリズム”なのかもしれないけど。世界を滅ぼそうとしてる相手に向かって、武力で勝つ(?)のが本当に正しいのか分からない。群衆の戦闘意欲を掻き立てる熱のこもったスピーチが正しいのか分からない。

みんな幸せになってくれ〜〜!!!この世、サーティワンの美味しいアイスクリームでは平和にならんの!!??ならないですか、そうですか……。

これだけブツブツ言ってしまったけど、終映後に場内のライトがついてすぐに「バカおもろい!😆」と言ってる観客を見つけて嬉しくなった。まあまあ声大きかったし、エンドロールが終わるのをうずうずと待っていたように食い気味の「バカおもろい!」正直拍手が起きるより貴重な経験かもしれない。良かったねそんな映画に出会えて☺️の気持ちになってしまったし、なによりこの声は製作者たちを支える。
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