場面をカット割してフラッシュ的に見せるやり方は映画としては感情移入しずらかったが、音楽にどっぷり浸れる映画です。
日本語訳の音楽監修は湯川れい子さん。
子どもの頃小さな白黒テレビでみたエルヴィスのパフォーマンスは衝撃的で、日本のテレビの歌謡ショーとは比べものにならない迫力だった。あれはいったい何だったのだろう、日本での公演だったのかしら?と長年抱えていた疑問がこの映画で晴れた。
差別された黒人音楽を白人の彼が陽に当てその後の音楽の潮流をつくる。背景のアメリカ史も子どもながらに覚えていることばかりで、政治家の暗殺が続きそのままこの国は泥沼のベトナム戦争へと突き進むのだ。
個人としては決して幸せな晩年ではなかったことが悲しい。当時ドーナッツの食べ過ぎで太ったと風刺画で揶揄されていた。マスコミとはそんなものだ。アーティストとして彼の抱えた孤独を今ならわかってあげられる。
素晴らしい音楽をありがとう、エルヴィス。