Shelby

tick, tick...BOOM!:チック、チック…ブーン!のShelbyのレビュー・感想・評価

4.3
あの「ハミルトン」や「インザハイツ」のリン=マニュエル・ミランダ監督だとは知らなかった。

自伝作品というだけあって、ミュージカルに乗せて日々の様子を切り出す。個人的にダイナーでのクソ客達に脳内で罵りながらミュージカルを始めるシーンが大好き。笑
家で食え、はさすがに笑ってしまった。

0から1を生み出す苦しさ、実らない努力、周囲との格差、幸せの定義とは?、夢を追いかけ続ける難しさそして何より、
“自分の可能性を信じ続けられることの難しさ”
これが個人的に1番難しいのではないかと感じてる。

夢を追うってそういうこと。何千何万回と映画やテレビ、本でも描かれてきた。それでも、夢見ることの素晴らしさ、そこに捧げる情熱の炎は消せやしない。そうやって今までのクリエイターや夢追い人は苦しみ藻掻いて掴み取ってきたんだよね。

Tick, tick, tick…
頭の中から消えない時計の針。それはジョナサン・ラーソンが30歳までを自分の中での区切りと考えていて、そこまでに何かにならなければと一種の強迫観念のようなものを持っていた。
その30歳までのカウントダウン。並の苦しみではなかったはず。

レントの初上演前に大動脈瘤が原因でジョナサンは35歳の若さで亡くなるというナレーションでその事実を知った。全力で走りきった人生だったのだろうか、もしくはまだまだやりたい事があったのだとも思う。死人に口なし。本人の意思は分からないが、「今死んでもいいように生きてきた」と言って欲しい。そして私もまたそうありたいと思うし、その信条を忘れず生きていきたい。
Shelby

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