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眠る虫のPDfEのレビュー・感想・評価

眠る虫(2019年製作の映画)
4.5
道祖神や間の空間にズームしたり、カメラが手袋の目線になったりと、人間以外の主体を認めているのがとても心地よかった。
音に関しても、サントラの中にイヤフォンから流れる音が重なったり、話し声や物音のざわざわが聞こえたり、日常的で見捨てられがちなものたちが間に入り込んできて自然に存在することを受け入れる空気感で、上映後の現実にも地続きになっているような感覚が残る。

色々なところにいる石が連続して映される場面で何故か泣きそうになったけど、それはドラえもんの石ころぼうしのように視界から過ぎ去ってしまったら人間からは見えなくなる
ものが、映像として永遠になっているからかもしれないと思った。
しずえが絵に描かないと死んでしまうと言っていたけど、それは声が届けられる可能性が閉ざされてしまうから?

近藤が閉店した喫茶店に対して言う「死んだのではなく眠ってるだけ」という台詞がよかった。場所が眠っているというのはどういう状態だろう?
上映後のトークの金子監督と高島鈴さんのトークで印象に残っているのが「浮遊する場所」というワード。自分の今の職能は物質的に場所をつくることだけど、過去の歴史〜つくる過程までを含んだ現在完了的な射程を共有することでその後のコミュニティの発生に貢献できるのかなとぼんやり思った。それが、場所が目を覚ますということなのかな
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