若大将オーウェン

バビロンの若大将オーウェンのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
4.5
デイミアン・チャゼルによる3時間のハリウッド狂乱一代記!

いきなりとんでもない映画を見にきてしまったと悪い意味で面食らうが、マーゴットロビーの輝きを見ていく内に、あまり気にならなくなってくる。主役のディエゴ・カルバもチャゼル作品の主人公らしい純真さを残した男の子って感じ(大人の男ではない)で良いし、ブラピは酒飲むのがヒヤヒヤするがやっぱりサイコーにかっこいい。
(ブラピのエピソードはモデルの役者とは違う理由での悲哀が描かれていてそのどうしようもなさが良かった)

本作の映画音楽の素晴らしさは誰も否定できまい。3時間の交響曲を聴くような高揚感。
本作で唯一品があるキャラであるトランペット奏者のシドニー・パルマー(ジョヴァン・アデポ)ともリンクしてる。彼はエピソードの苦味含め良かった。

映画のトーンもテイストもフォームの美しさなど二の次で、でもこいつなんか目が離せないし速くね?という3時間。

ベースは想像以上にブギーナイツ。パートとか置き換えてるだけじゃね?と思えるほど。終わり方はスコセッシみたいな感じ。

確かに浅いと言われれば、そうかもしれないし「セッション」や「ララランド」は普段映画を見ない人にも薦められるが、本作は薦めづらい。そういった感じが本国で大コケしてしまったのだろう。しかもめちゃくちゃ嫌われてる。

途中でお高く止まってるやつらにふぁっきゅーするシーンがあるのだが、意図は分かるけどあれがあることでより批判を先に封じ込めてるような嫌らしさはある。

まさに本作で描かれるハリウッドのように、スマートな映画ではない。賛否両論大歓迎の暴走機関のチャゼル。でもラストの力技はチャゼル印だと思う。それでねじ伏せられなかったとしても。

本作にはウルフオブウォールストリートにあった徹底的に浅く描くという深みはないし、かと言ってPTA作品にあるような人生の酸いも甘いも丸ごと体験してしまったかのような感慨には届いてない気がする。

でもちょっと泣いた。嫌う人も分かるけど、自分は応援の意味も込めてこのスコアで