麩

バビロンの麩のレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
4.2
最っっっっ高 3日間で2回観た
3時間の映画観た後「次の回のも買って観ようかな?」って思ったの人生で初めて
なんなら観てる最中にもう思ってた(でも同行者がいたから2連続6時間鑑賞は叶わなかった)(一応打診はした)
前評判かなり高かったけど、物凄く高まったこちらの期待をまっったく裏切らないどころか、上方修正してきた 

やっぱデイミアンチャゼルの映画は、映画自体にグルーヴがあってその複雑なテンポ感が物凄く気持ちいい
今回の作品は交響曲か?ってぐらい多層な何章構成になってて、冒頭の猥雑さにウエエってなったと思ったら、タイトルロールくらいからのサイレント時代の映画撮影所のシーンは圧巻のワクワク
映画を初めて観た幼子のように、興奮と感動でわやくちゃの表情で観てしまう
そっからもどんどんどんどんコロコロ物語が転がっていって、語り出すとキリがないくらい全パートが噛み応えにあふれてる
途中“要塞”のシーンはまじでディズニーランドのアトラクションでしかなかった あの時間ほんとうに私はあの場所に、いた…

ブラピの枯れた演技、もんのっっっっすごく、いい
別にブラピ世代じゃないし、私にとってのヒーローってわけでもないのに、ブラピが没落していくところを見てるだけで泣けて泣けて仕方ない
「君はよく働くね、今までで貰った最高額のチップはいくらだ?」
「50ドルです」
「誰にもらった?」
「あなたです」
のところでぶわあーーーって涙が溢れてきて、その後のブラピの背中で語る一連のシーンずっとずっと嗚咽して泣きっぱなし

あんなにべろべろになっても数時間後パリッと着替えて「映画の世界へ行くぞ!」ってマニーを起こしてくれるのとか
撮影所で、槍が飛んできて危機一髪のあと「槍が新しすぎる!!もっと古くしろ!!!」って怒鳴るのとか、
「クソ映画なんだな?」のあとの
「OK、撮影所で会おう」とか
海辺の撮影でもう一回お願いします!って言われて「sure」ってにこやかに応えるのとか
ずっとずーーっっと本当にかっこよくて
最後の一瞬までかっこよくてかっこよくて、だからこそ美しいまま散っていく姿は苦しくて仕方なかった

そんでなんといってもラストの主人公が自分の人生と映画史を回想する一連よ
こんだけたっぷりたっぷり、要点だらけクソデカ物語をぶつけてきたあとに
無地の一色の画面とかインクが水の中を落ちるだけの映像とか、
メチャクチャにやったこちらの脳内が、その余白に流れ込んでいくような、意味のない画面を羅列するデイミアンチャゼルの豪胆さよ
インディーズフィルムみたいな挑戦的なことを
よくもこんな大画面で、全世界に向けてやってのけたなぁと思って
惚れ惚れとしてしまう

あと笑いどころもたっぷりでよかった
理不尽にクビになるティムとか
撮影ブースが暑すぎて死ぬやつとか
ヘビ騒ぎのカオスとか
唐突で意味不明で理不尽な笑いが沢山
大好きなユーモア

あーーほんとに語りだすと足りない、帰りの電車が最寄駅に着いたのでもう終わり
デイミアンチャゼルという天才がいる世界線に生まれてきてよかったね、
ララランドだけでも一生残る一本をもらったのに
こんな大傑作を数年と開けずに見せてくれるなんて、すごまじい、チャゼル
ただ、チャゼルの映画、面白いのに毎度毎度ポスターがダサすぎるからもうちょっとマシな広告ビジュアルにしてくれ
麩