ぶみ

バビロンのぶみのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
3.5
夢をつかむ覚悟はあるか。

デイミアン・チャゼル監督、脚本、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー主演によるドラマ。
1920年代のハリウッドを舞台に、夢を叶えようとする人々の姿を描く。
ハリウッドの大スタージャックをピット、大スターになることを夢見る新人女優ネリーをロビー、映画製作を夢見る青年マニーをディエゴ・カルバが演じているほか、ジーン・スマート、トビー・マグワイア、ルーカス・ハース、サマラ・ウィーヴィング、オリヴィア・ワイルド、エリック・ロバーツ、リー・ジュン・リー、ジョヴァン・アデポ等が登場しているのに加え、チャゼル監督の妻であるオリヴィア・ハミルトンがサイレント映画の監督役で出演しているのも見逃せないポイント。
物語は、華やかなハリウッドの世界を駆け抜けていくジャック、ネリー、マニーの三人の姿を中心に展開。
何はともあれ、チャゼル監督が紡ぎ出す映像と音楽を浴びるように楽しもうと、前方の席をチョイスしたところ、早々にまさかの象の洗礼を浴びることに。
次に登場する酒池肉林なパーティーシーンたるや、狂気と音楽の洪水を、長回しを中心とした圧倒的な熱量で伝えてくるもの。
その後も、サイレント映画からトーキー作品へと劇的に変化していくハリウッドに人々が翻弄される様が描かれるが、サイレント時代のオープンセットは驚きの一言であり、前述のパーティー同様、カオス状態。
また、トーキーとなりネリーが何度も何度も撮り直しをさせられるシーンは、観ているこちらも、物音を立てることが憚られるものであり、肩が凝りまくり。
そう言った、当時のハリウッド映画の裏側が映し出されるのは、フィクションとはいえ、文化を伝える内容として価値あるものではなかろうか。
加えて、ジャックはジョン・ギルバート、ネリーはクララ・ボウと、サイレント時代の実在のスターをモデルとしていることから、伝記ドラマ的な側面を持っていることも、本作品の特徴の一つ。
ただ、いかんせん、三時間を超える上映時間は流石に長い。
リッチな映像と、圧倒的な熱量という点では『RRR』と共通点は多いものの、ドラマメインの本作品の方が、どうしてもスピード感が落ちるため、長さを感じてしまったところであり、興行面から考えても、朝一からレイトショーまでで四回上映が精一杯なので、もう少し短くても良かったのでは。
とは言うものの、華やかな表舞台と、その裏に隠れた人間臭いドラマを、常に鳴り響くゴージャスな音楽とともに圧倒的な美しさとグロさを兼ね備えた映像で描き出し、この時代があったからこそ、今があることを教えられる一作。

人生は最高!
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