Jun潤

バビロンのJun潤のレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
3.7
2023.02.14

ブラッド・ピット×マーゴット・ロビー。
映画革命期のハリウッドを舞台に、スター俳優と新人女優、映画製作に夢を見る青年と重厚かつ快活なドラマ性の予感はタップリ。
映画作り映画はやはり見逃すわけにいきませんなぁ。

映画監督を夢見るマニーとスター女優を目指すネリーは、スター俳優のジャックが参加しているパーティで出会う。
互いが見た映画への夢、それぞれに偶然訪れる運命をきっかけに、スターダムへと駆け上がってゆく。
しかしそれは、1920年代のハリウッドという、欲望が渦巻き絶えず変化していく、最も映画が熱い場所においては、破滅の始まりでもあったー。

う〜ん、惜しい……。
中盤までは完璧に大傑作だったし、ジャックの顛末だけを追うとエモーショナルなドラマ成分満載だったものの、マニー側のドラマが急にスリラーというかサイコというか、それまでそんなにドロドロと表立って描かれていなかった社会の“闇”の部分を描いていて、妙にドラマチックでセンセーショナルになってしまい、エンディングに至っては当時から現代へ続く映画コンテンツの盛り上がりだけで済まさずに、ドラッグムービーと化していた印象です。

ストーリー全体としては、劇的な出来事が起きたり、分かりやすく転落したり成り上がる人物がいたりするものというよりは、あくまで時の流れ、時代の変化、人や業界の栄枯と盛衰の天秤の揺れ動きが上手く描かれていた感じ。
主要3人の成り上がりっぷりや落ちぶれっぷりもそりゃ良かったものの、個人的に主題はそこではなく、あくまで時の流れだったのかなと思います。
最初は屋外に大規模なセットを建てて泥臭く撮影していたのに、徐々に音が出て色が乗り、撮影時に演技以外の要素が入ってくるとなれば、やはり急には上手く噛み合わないもの。
その変化の中で上手く適応して流れに乗るか、適応できずに落ちていくか、人それぞれに行く末が違うのは想像に難くなかったですね。

そして移り変わるものがあれば変わらないものもある。
個人的に今作でのそれらは「音楽」と「パーティ」だったのかなと思いました。
「音楽」に関しては、作中で数少ない落ち切らなかったシドニーが奏でるサックスの音が核となった力強い音楽が象徴的でしたね。
まさに映画音楽といった感じ。
予告時点からなかなか聞き応えのある音楽でしたが、劇場でそれを“体感”できました。

「パーティ」については、作中騒がしいものから優雅なもの、アングラチックなものまで幅広く出てきましたが、主要3人、特にレニーが変わらずにいたことで、パーティの中にあるノイズで居続けてくれていたかなと思います。

マニー自身、映画業界に対して夢や恋愛など色んなものを見出して、成功もしたし怖い思いもたくさんして逃げ出してしまったけど、結果時が経った後には自分自身が大きな流れの一部になれたことを実感して、大粒の涙を流したのだろうと、そこに関しては救いがあって良かったと思いました。
Jun潤

Jun潤