ますお

バビロンのますおのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
4.5
正直に話す。猥雑・下品・下劣で退廃的。
ス◯トロ、シモの話etc.. ここで表記しきれない表現が少しでも苦手な人は絶対に見ない方がいい。これは大前提。

一方で、ララランド含め、ディミアン・チャゼルが『何者かに”なりたかった”人たち』とその群像劇を描くのがあまりにも上手すぎるな、と身をもって実感した映画でもある。

個人観として気分のいい日の夜にガンガン酒入れて酩酊状態で家で鑑賞しながら途中で寝落ちつつ数回に分けて見る、がこの映画の見方の正解な気がする。

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閑話休題で、今から見る人向けだが、絶対に『雨に唄えば』を見た上での鑑賞をオススメする。

私は幸運な事にアダム・クーパー率いるミュージカル版の同作品を何度か見る機会に恵まれており、劇中シーンで何度も合点のいくパートがあったが、見てない人にとっては体感全体の25%くらいが「女性がセクシーな衣装で屯しながら昔っぽい歌を歌っている」シーンで過ぎてしまう。
前提がわからないままだとただただ懐古主義的で茫洋なシーンばかりだと思う。
長いだけのつまらん映画と思う気持ち、むちゃ気持ちわかる。

その空間が埋まった状態で見たうえで、の話だが、個人的にはビックリするくらいブッ刺さってしまった。
最後の方は興奮して動悸が止まらなかった。不整脈か高血圧かもしれない。

特に役柄とはいえ、壮年のブラピがこの映画の脚本をもらってジャック・コンラッドを演じる際、きっと”中の人”の引き際を表現する場面もあったはずで、彼自身それをどう考えたのだろうか、と思考を飛ばさずにいられない。

ゴシップ記者エレノアがジャック(=ブラピ)に語りかけた言葉、涙が出た。
彼岸に行ってしまった大好きな俳優の大好きな作品を見ることでその人は私の中で生き続けてくれている。
ブラピはどうなのだろうか。”幸運”を手にした1人として、その会話が書かれた脚本をどう咀嚼したのだろうか。

とにかく言いたい事は、私にとってはすさまじく刺さってしまった映画、と言うことです。
ますお

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