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バビロンのbaobabunokiのネタバレレビュー・内容・結末

バビロン(2021年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

『汚くて下品で美しいとは言えないけれど、ある意味美術は美しくなくて良い、何かを感じさせれば良いのだ』の言葉の矛盾さだとか正しさを感じた映画だった

ハリウッドに対するイメージ「アイズ・ワイズ・シャウト」(1990)、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(2013)でしかなくてかなり予想してたけど、それを超えてくるインパクトを叩きつけてきた。

それぞれの登場人物の役、実際に存在していた本人、そしてそれを演じるキャストのイメージ像も何故だか繋がっていて良かった。『ワンス・ア・ポン・イン・ハリウッド』のようなシーンの切りとりは不規則な繋がりがあり、夢を追い求めた人たちの波瀾万丈の悲しい終わりに導いていた。

どのシーンにも隠れた闇のような汚さがあり、それらを絞ってほんのひと絞りのシーンしか撮れない、成功者になりたくて人を見下し、搾取して笑い者にする、そういうことをきっとわかってる人だからこそ描いたんだなと感じた。サイレント映画からトーキー映画への変化、“ヒットするため”を理由にした人種差別、ドラッグ依存、階級格差による映画をマネジメントする人たちの変化など...

3時間と長い映画で、ビートのように波打つ音楽、そして最後のラストシーンはまさに映画好きに見て欲しいと思わせるエネルギーが詰まったもの。

美しくないし、汚くて全員に向けた映画ではない。でも映画に対する愛はすごく理解できるし、
『ニュー・シネマ・パラダイス』を思い出させるようなあの感動、『雨を唄えば』を見た時に得た映画の楽しさ、最後の大胆な赤、青の色彩とカット様々な映画が続く... 狂気。そこにボロボロ泣きました。
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