MASH

バビロンのMASHのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
3.0
監督の思いが強すぎた結果の3時間という感じ。割とカットしていいだろという所や、エンディングの引き伸ばし方が少し気になった。「ここで終わったら綺麗なのに」という部分が多数。トビー・マグワイアのシーンなんかは観客を飽きさせないようにしているのだろうが、正直丸々カットしてもいいような。

あと、監督の好きな映画にオマージュを捧げているのだろうが、ちょっと真似に近いような展開が多い気がする。それこそ劇中では言及されてないが、PTA監督の『ブギーナイツ』に構成がそっくり。でも、同じ3時間なのに『バビロン』はワンシーンワンシーンを引き伸ばしすぎて、とにかく長く感じてしまった。

ブラッド・ピットやマーゴット・ロビーは相変わらず上手いが、彼らのキャリアを考えると飛び抜けているというほどでもない。主演のディエゴ・カルバに至っては野心よりも素朴さが勝ってしまっており、彼がハリウッドで成り上がっていく様子に説得力が足りていない。あと、3人の繋がりがそこまで強く感じられないというのもこの映画の弱い部分。

とまぁ、色々書いたが、間違いなく監督の映画や音楽に対する愛は本物だ。本物だからこそ詰め込んでしまったのだろうという印象。前半のてんやわんやな状況で映画を作り上げるシーンでは、この監督らしいスピード感のあるカメラワークで描いた上で、そのカオスな状況と映画を作る喜びを画面いっぱいに見せてくれた。時代も変わって技術も進歩したとしても、映画への情熱は変わらないで欲しい。そんな願いと決意を感じられる映画ではあった。
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