それぞれの俳優陣がそれぞれのポジションで最適な役割を果たしてほんとに美しくあたたかくまとまった良作。
綺麗事過ぎず、でも人の優しさや思いやりあえることの明るさを信じさせてくれる物語が素晴らしかった。
切なさややりきれなさも描かれるが常に前向きな救いがあり後味の良さはこの作品の特筆すべき美点であると思う。
そしてやっぱり伊藤沙莉さん。
この作品を映画館で観る前に又吉さん原作の映画、劇場を観てたのだけど、その中とは全くの別人。ほんとに素晴らしい女優さん。
優しくて強くて、可愛らしくて、でもその影に彼女演じるケロ先生が重ねてきた寂しさや涙まで想像させる厚みのある人物造形は天性のものだろうか。
ケロ先生が美紀ちゃんを「何もせず」ただ抱きしめている様子を引きで見せるシーンは涙が出て、その後、彼女が幼い美紀ちゃんを残して亡くなったお母さんに思いを馳せる発言では声を出さずに泣くのが苦しいほどの名シーンだった。
親子物としてはやや薄味かも知れないが、間違いなく観る価値のある文字通りハートフルな作品。
ちなみに、國村隼さんと余貴美子さんて最強の義父母でしょう。統合幕僚長と防衛大臣だよ。
それは冗談としてもこの2人が邦画界にいることの価値は計り知れない。
どの作品にいてもその作品のクオリティを最低でも3割増にしていると思う。
