砂肝

うたのはじまりの砂肝のレビュー・感想・評価

うたのはじまり(2020年製作の映画)
4.1
ろうでありカメラマンでもある齋藤陽道さん。カメラを通して「見る」ということに重きを置き、かつて歌を嫌っていた彼が自然に誘発されて紡ぎ出した子守唄が、まるで祈りのように思えて仕方がなかった。

樹さんが初めて発した言葉が「だいじょうぶ」だなんて、そんなもの希望しかないに決まってる…
したたかで、真っ直ぐで柔らかな「だいじょうぶ」ということばが、小雨のようにやさしく降りかかる。

七尾旅人さん、すごく素敵な方だった…「うた」の本質的な部分を鋭く見抜く感性と、ことばに先行して生まれ出るメロディや声の音色がとても魅力的。

樹さんは一体どんな大人になるんだろう。
あちこち走り回って見えるもの聞こえるものすべてに目を輝かせているエンドロールでの姿に、思わずうるっとしてしまった。

いい月が昇るといいなぁ。
砂肝

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