差別問題を考えるときに冒頭引用されるウィリアムフォークナーの言葉は常に向き合わねばならない重要なひと言であることはちがいないし、その映像化としてここに至るアイデアは良かったと思うけど、土台や映像が良いだけにどうしても大味なプロットに消化不良を禁じ得ない。
差別地獄を喰らうことになる黒人たち特に主演のジャネールモネイには感情移入を避けられない演技の鋭さがあり、狂いに狂った人種主義思想を前にはついつい「アメリカの男の子、どうした?」と言いたくなってしまうが、そういうことを簡単に言ってしまえることも含め優位性や特権性を自覚することは残念ながら現在においては難しいことであり、だからこそ1人の問題ではなく全体で考えていかなければならないのだと思う。