ももんがぁ

Ill: Final Contagium(原題)のももんがぁのレビュー・感想・評価

Ill: Final Contagium(原題)(2019年製作の映画)
4.0
デキモノ映画の最高傑作。

顔面に吹き出物の様なグロテスクなブツブツ、肥大化しブクブクになる体、もげ落ちるちんこ。『ザ・シスト』でデキモノ映画として落胆した皆んなもきっと満足する気持ち悪さがここにある!コレぞ我々が見たかったデキモノ映画だ!わーい!!


とある科学者によって作られたウイルスが汚染されたお金によって世界中に広がり、恐怖のどん底に陥れられる人々を描いたホラーオムニバス。
今作はパンデミックが発生する0日目から約3年後の913日までを描いている作品で、それぞれが何かしらの形で繋がっており、パンデミックの恐ろしさをリアルに描いている。

女2人に騙されてウィルス入り鞄を盗まれたおっさん。
トラックに轢かれた男の財布からウィルスに冒された紙幣を盗んだ青年。
自称整形外科医に安値でヒアルロン酸手術を受けたトランスジェンダーの娼婦。
ウィルスに感染した息子を救おうと必死な父親。の4つの話からなる。

特にロレンツォ・ザノニ監督の2本目『GULLY』とドミジアノ・クリストファーロ監督の3本目の『The Body』が個人的には好きでしたねぇ。

GULLYでは献身的な彼女にも思いやりもなく、家でゲームするか菓子食べるくらいしか役に立たないポンコツな彼氏が感染した紙幣を盗み、その指で紙幣を数え菓子食べながら指を舐めゲームをし、体内に取り込んだウィルスから次第に朽ちていく様が克明に描写される。

やがて体の一部が崩れ落ち、痛みが増してくるに連れ自分の罪の意識や葛藤に苛まれていく話。そんな怠惰だった青年の運命を最後に受け入れる彼女の抱擁力の高さにちょっと泣きそうになった。


The Body
これとやれる男どもの幅の広さよ。

究極の美しさを手にしたいけどお金はない、そんなヒアルロン酸ゴリラのローラちゃんが低コストで粗悪な注射で美を追求する余り、ウィルス感染し偽りの美が崩落していく様を描いている。

今作に限っては汚染された紙幣によってではなく、ウイルスが身体を蝕んでいくに連れ自傷行為、遂には殺人と手を染めていくローラちゃんの姿に感染する前より感染した方が好みな自分がいる。

否、やれん。

4つの短編ともにブツブツでツブ揃いな良作で是非とも日本に配給されてほしい映画の一本です!
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