うめ

星の子のうめのネタバレレビュー・内容・結末

星の子(2020年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

家族と自立と社会を
異様な空気で綴った異色作。
語るべきテーマがいくつも内包され、
何度も見返す必要のある作品である。

まずあるのは「親ガチャ」の問題。
受け容れるか、あきらめるか。
それとも逃げ出すか。

そして自立と淡い恋心。
孤立と貧困の中で、
唯一の希望だった先生。
ところが、いとも簡単に拒絶される。

この絶望感と不安が彼女を急激に狂わせる。

探しても見つからない両親。
怪しい教団の噂。
僕らは胸騒ぎを止められなくなる。

そして、クライマックス。
何がどうあれ家族がいちばん。
という答えなのか、それとも、
もはや彼女はあっち側に行ってしまった。
と見るのか、謎だ。

怪しい教団が登場すると言えば
「ああ、荒野」とか
「愛のむきだし」など名作は多い。
ただ今回は、浅い。
神とは何かに触れない。
性的な関係も出てこない。
マルチ商法的な側面が強調され、
黒い噂はあるものの、
信者たちは楽しげで社会的にも無害に
見えてくる。
ここはこの映画、大きな危険を孕んでいる。

そう考えると、
盲目的になれば実は楽なのかもしれない。
別に誰かを傷つけていないし。

でも、
それでいいのだろうか。
それで本当にいいのだろうか。
星空は僕らに問い続けるのである。
うめ

うめ