ミッキー

セイント・モード/狂信のミッキーのレビュー・感想・評価

セイント・モード/狂信(2019年製作の映画)
3.7
何者かになりたい気持ちを抱きつつ、生来の人付き合いの下手さに仕事上のトラウマまで絡み 社会と上手くやっていけない女性がどんどん孤独を深めて引き返せない心の迷路に迷い込む哀しい話だった。

人を救いたいとか使命の啓示を待っているなんていうのは最初の方こそ彼女自身も気がついている自己欺瞞だったんだよね。
でも、救うべき対象に出逢ってしまった!
…と、思い込んでしまった…

バーのシーンが印象的で、モードが本当に求めていたのは あの隣の席の学生?みたいな近い年代の若者の輪に溶け込んで笑いながら上手に相槌をうつ事なんだよなぁ。
でもそういう所謂“普通”の人付き合いが彼女には本当に困難で…
“ああいう”手段で刹那でしか人と繋がれず、他者に求められていると実感できない…

コミュ障の若い女の子ほど、受け入れられる唯一の手段として身体を開きがちって現象まんまだねぇ。
悪魔憑き系の映画で取り憑かれた女性が淫乱になる描写「まあたこれか〜」って感じあるけど、彼女たちのは性欲じゃないんだよね。寂しいだけなんだよね…誰かに自分を必要として欲しいんだよね…
“本当に助けを必要としている人はそう感じさせない人間だ”っていう言葉に通じる描写でもあるんだろなーと思った。
モードが元娼婦であるマグダラのマリアのネックレスを身に付けてるのも意味深。

最後、坂道を転がり落ちるように…いや、かの丘を駆け上がるように?神のもとへ近づいていく彼女の精神に応えたのは。

昔、キリスト教を真面目に学んでる人に聞いた「神がこちらに語りかけていると感じた時は注意しなければならない。それは悪魔の声である」って話を思い出したりして…

ラストシーンめちゃイイよね!!!
もっときちんと見せて欲しかったけど。あの残酷な現実を。
永遠に列聖されない哀れな女の子の話、沁みるねぇ…
ミッキー

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