『鹿の王 ユナと約束の旅』
映倫区分 G
製作年 2021年。上映時間 114分
『精霊の守り人』で知られる上橋菜穂子による、2015年本屋大賞を受賞したファンタジー小説をアニメ映画化。
声優として、戦士ヴァンを堤真一、医師ホッサルを竹内涼真、ヴァンを追う謎の戦士サエを杏がそれぞれ演じる。
『もののけ姫』『君の名は。』などの作画監督として知られる安藤雅司が初監督・キャラクターデザイン・作画監督を手がけ、『伏 鉄砲娘の捕物帳』の宮地昌幸が共同監督を務める。
『攻殻機動隊』シリーズのProduction I.Gがアニメーション制作を担当。
最強の戦士団『独角』の最後の頭であったヴァンは、強大な帝国・東乎瑠(ツオル)との戦に敗れ、奴隷となり岩塩鉱に囚われていた。
ある夜、不思議な山犬の群れが岩塩鉱を襲い、死に至る謎の病『黒狼熱(ミツツァル)』が発生。その隙に逃げ出したヴァンは、幼い少女ユナを拾う。
一方、東乎瑠の民だけが病にかかると噂される王幡領では、天才医師ホッサルが懸命にその治療法を探していた。。。
今作品は、2014年に出版された作家・上橋菜穂子の2冊の小説を、2021年にアニメ化した作品です。
COVID-19のパンデミックのために延期された今作品は、致命的な疫病が発生した際の社会政治的な観点の複雑な事情を皮肉たっぷりに扱っています。
我々自身の世界的なパンデミックの重さを把握しようとする多くの映画がある一方で、このファンタジー民話は恐ろしい現実をかすかな希望とともに提示していました。
大柄なヴァンと愛らしい共犯者がアチコチを歩き回り、野生の飛鹿(ピュイカ)の習性と身を守る方法を学ぶ。
しかし、この2人の親友が物語の大きな政治的要素に巻き込まれると、その勢いは失われちまう。
帝国・東乎瑠(ツオル)に滞在すると、ウイルスが自分たちに害を及ぼすという概念に尻込みする頑固な民族主義者の価値観が明らかになる。
その裏では、アクアファの指導者たちが、再び全面戦争が勃発しないよう、病気を武器にツオル国を一掃しようと努力している。
ヴァンとユナが物語の中心やけど、政治的な大義名分や複雑な小ネタのために彼らが脇に追いやられると少々難がある。
今作品の映画全体を通して、2人の監督が以前スタジオジブリの作品とつながりがあったことを示すような、華やかな場面がたくさんあった。
今作品は、ジブリ作品と同じファンタジーの民話をテーマにしているが、ここでは、ストーリーやデザインにおける複雑なディテールが欠けている(何のアニメーション技術を持ち合わせてませんが🙇)。
しかし、監督の安藤雅司、宮地昌幸は、2巻からなる大作を、印象的なキャラを通して輝く唯一の物語に凝縮してるのは評価できるし、大地と人体の交わりを強調する変遷期で、優しく描かれ、巧みなアニメーションになってた。
登場人物はみな明確な動機を持っており、政治的なテーマも随所に織り込まれている。
とは云え、それが映画を支配することはなく、自然界の描写や登場人物の人間関係に対して二の次になっているのは否めないかな。