しちれゆ

ひとくずのしちれゆのレビュー・感想・評価

ひとくず(2019年製作の映画)
3.7
″少女を地獄から救ったのは人間のくずだった″
空巣を生業(なりわい)としている金田正男(朝鮮人を示唆?)通称カネマサのキャラがこの悲惨な物語を救っている。焼肉屋の店員には「おいブス!ビールとジュース!」
「神戸牛のミスジ?スジなんか食わねえよ」少女 鞠には「泥棒のおじちゃん」と呼ばれる。育児放棄していた鞠の母も次第にカネマサに心を開いていき、終いには彼の元カノに焼きもちを焼いて大暴れ。ケバ盛りメイクだった母 凛が素顔に近くなっていくのが凛の心の変化を表していてとても良い。
どんな親の元に生まれるかで子供の人生が決まってしまうのはほぼ事実。けれどカネマサは鞠親子を救い、それによって彼自身も救われた。人に与えることで与えられ、人を充たすことで充たされる、という一筋の光を見せてくれる本作。
一方、家庭内で密かに進行する虐待とは見えない虐待、自身を毒親とは自覚していない毒親の存在も多く、網の目からこぼれ落ちてしまうこれらの人々こそ問題であると個人的には思う。
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