Hisa

プロミシング・ヤング・ウーマンのHisaのレビュー・感想・評価

3.8
面白かった。
赤やピンクのポップな色彩と音楽に彩られて始まるが、内容は毒毒しい。

輝かしい将来を約束された若い女性だった主人公は、親友がレイプされたことをきっかけに医大をやめ、30才になっても親と同居、カフェでバイトし、友達も恋人もいない。

前半は彼女が、クラブでわざと酔っ払ったふりをして男にお持ち帰りされ、レイプ犯予備軍の男どもに制裁を下す様子と、そんな彼女に恋人ができる過程が描かれている。このくだり、もう少しサクッと描いてもよいと思う。
前半はちょっとダレ気味。

しかし、彼女が、レイプ犯だった学生が立派な医師になり、しかもモデルと結婚することを知り、しかも、ふとしたことから事件のビデオを手に入れた時から、物語は急展開を始める。
物語の主軸はココなので、正直もっと映画の前半からこの物語をじっくり描いてくれてたらよかったのにと思う。

。。。酒を飲んで酔った上でのレイプ。酔った女性を非難する人も多い。
この映画では、女性の責任を追求した女性にも、鉄槌が下される。
セカンドレイプに対する非難。

この映画で注目すべきは、学生時代のレイプ犯たちが、ハンサムで、行儀が良く、なかなか素敵なナイスガイに描かれていること。
現実世界でも、人間が過ちを犯したからといって、その人間に全く美しい部分や優しいところがなかったわけではない。どんな人にもいい部分もある。だからといって、彼らの犯罪が帳消しになるわけではない。

アレキサンドリア・オカシオ・コルテス議員の演説じゃないけど、
頭がよく、良き父親で、親切な人間で、有能で社会を助ける人間であっても、女性の尊厳を踏みにじる言動を行うことができるということ。

#metoo 運動なので女性の声が上がってはきているものの、まさかあんないい人が、という思い込みと、男性の知名度や力、社会的地位の陰で、泣き寝入りをしている女性がどれだけいることか。

と、これは私の勝手な感想。この映画はそこまで深いテーマの追求があるようにも見えない。
後半の展開はゾクゾクするし、最後もびっくり。面白いよ。観たら良いよ。

でも、物語の大前提である、「友人がレイプされて自殺したために、自分も学校をやめ、男性全体と、そのレイプ犯に人生かけて復讐する。」
ってこと、現実にはまずないでしょ。
ありえない前提の上に物語が成り立ってるから、面白いのにB級感が否めない。色々ノミネートされているけど、私なら、
・テーマの掘り下げが不十分
・前提となる設定に共感できない
という二点において、賞はやらんな。

面白いけどね。
Hisa

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