"残酷描写で勝負"ではない復讐劇は近年あまり見ないので、結構珍しいかもと思いました。
視覚的描写よりも伝聞による描写にフォーカスしながらストーリーを成立、あるいはより残酷性を強調できているようにすら感じました。
復讐の大原則として挙げられるのは、主に、復讐する者自身は結果的に不幸を被る可能性が大いにあり、ほかのあらゆる犠牲を厭わないという条件の元でしか決して成立しないという点だと思いますが、これもまた例外ではなく、ただ主人公も勿論それは全てわかった上での復讐だということは見るも明らで、結果的には望んだ成果を出したということなのだと思います。
悲しいのは、当事者は普段の何気ない会話から傷つくことが多くて、決して交わらない世界線の人々と同居しなくてはならないという苦痛や、一度囚われると変われなくなるような復讐の性質ですね。
転から結へのコントラストが印象的でした。
純粋に復讐の心理を見ているような気持ちになりました。
テーマ的に概して笑えなかったのですが、音楽にエッジが効いていたり、おかしい男が出てくるのでクスっとくるだろうポイントはあるっちゃありますが、ブラックコメディとまではいかないかな?という感じです。どちらかというとトラジディに全振りです。