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プロミシング・ヤング・ウーマンのmikiのレビュー・感想・評価

4.8
今年イチの予感

将来を約束されたはずの若い女性は、なぜ医大を中退し“復讐”に走るようになったのか…

物語の中で過去が見えてくる度に苦しさが増す。スカッとはしないしずっと泣いていた。

あれほど最低な人たちによく遭遇するような世界線で生きていないから、フィクションだし大袈裟ではと思うところはあった。それでも自分の欲求を満たすために自分を正当化して、相手に受け入れられていると勘違いしている、舌なめずりして尻尾を振ってるのが見えそうなあの表情、あれはたしかに見覚えがないとは言い切れない。気分が悪かった。
「敵は男性」としていなかったのもよりリアリティを出している気がした。問題を自業自得と片付ける女性たちの存在が本当に腹立たしかったし、問題が自分ごとになった途端慌てふためくのは滑稽だった。だからこそキャシーの強さが際立って見えたのかな。
あとは弁護士がすごく印象的だった。あの弁護士の存在によって、それ以外の人物は罪を犯したことを自覚せずにのうのうと生きているから救いようがない・許せない・罰するしかないと感じるんだと気づいた。

以下ネタバレになり得るかも。

ニーナについて多くを描かないのは、個人的に好ましく感じた。話の軸がブレなくていいなと思ったのと、現実にこういう事件が起きると被害者が必要ない詮索(ニ次加害)に遭うことと関係している、とも解釈できるのではないかと思った。起きたことと加害者を罰することが重要で、被害者にスポットライトを当てる必要がないから描かないのかなと。

衣装やセットの明るくてポップな色合いや豪華な調度品で飾り立てられたキャシーの実家に対して、ときどきホラーやサスペンスのようなサウンドが入るのがちぐはぐで緊張感があった。

あと途中まで、Ⅰ,Ⅱ,Ⅲかと思ってたけどそういうことか!すごくかっこよかった。

映画館で観られるうちにもう一度観たい。
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