rui

プロミシング・ヤング・ウーマンのruiのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

これはクレイジーなの?
ジョーカーに似た違和感がある。

時代は変わった。
過去の過ちは許される=忘れられる、記憶から薄められる
ものでなくなった。今の時代、人類は動画という新しい記憶媒体を手に入れたから。「過ぎたこと」は何度でも真新しく思い起こすことが出来る。
ちょうどこの、東京オリンピックで同じような出来事があったからタイムリーだった。
「若かったから」
軽率な発言は過去にとどまらず、もはや人の時間は引き延ばされ、今を生きていても過去は一生ついて回るものになってしまった。
道徳的には忘れてはいけないけど、社会としては忘れる事が正しいのかもしれない。善悪なんてもうとっくの昔から、「社会の都合」によって決められているんだから。

過去のあやまちと似ているのが、男の浅はかさだろうか。この映画のテーマに意見するのはフェミニズムにも引っかかる問題だから神経質になるかも。

「若かったから」と同じくらい免罪符として黙認されがちなのがお酒と男の性欲。
生態的にとかの話ではない。もちろん頭で理解はしているが事実として、「男だから仕方ない」と妥協と許容を求められるのはいつだって女の方だ。

クラブでの男3人の会話。「あの歳なら学習しているだろうに。」学習って何?なぜ弱味を見せる女は男に持ち帰られて自業自得となるの?学ぶのがなぜ女側なの?
オレは本当は悪いヤツじゃない。
他の奴らとは違う。
そう思いたいのか本当にそう思っているのか。「遊びだから」「今だけ」「他の遊んでる奴らとは違う」
男たちのセリフはリアル過ぎて再現度の高さに脱帽。

もう一つ、両親が家で観てた白黒映画が気になった。聖人?神?は巻き髪やネイルを嫌うとかなんとか。ドラッグやってた男も、「キミは化粧をしない方がいい」とか言ってた。男はみんな化粧が嫌いとも。
結局、法や男や社会に制裁を与えても微々たる傷しか残らずに、心の傷は癒えることなくニーナもキャシーも報われないのでは。
男の前ではバカで単純にならないと愛されない、気がしてる。そういう気にさせる理由をこの映画が至るところで言葉にしてくれるから容赦ないと思ったな。
女学長に言い放つキャシーの「女は脳なしでいいのよ」が見方によっては爽快でグサリ。

ワガママでお馬鹿な方が女は愛されるのよ、は言われるけどそんなもの愛とは違うし欲しがる理由もない。
rui

rui