MURANO

プロミシング・ヤング・ウーマンのMURANOのレビュー・感想・評価

4.5
エンドロールに入った瞬間、ひとりで変な笑みを浮かべつつ、「うげー!」って感じの変な唸り声を出してしまいました。

もう、むちゃくちゃ毒づいててゾッとする怖さも残るのに、それと同時にものすごく気持ち良くて爽快なのだから、本当にビックリ!

劇場公開時には観れなかったけど、2021年公開作品としてはベスト級の作品。オスカー作品賞では敗れた『ノマドランド』より、インパクトは上でしょう。

タイトルを日本語に訳すと「将来有望な女性」という意味なわけだが、観る前はこれがこんなに皮肉めいたタイトルになっているとは、想像していませんでした。

この映画の内容を象徴するようなエッジの効いたタイトルですよね。

将来有望な女性が、男性の性欲の餌食になり、生涯心に傷を負うことになるのに、男性は成功を掴んで何食わぬ顔をしている、と。

そして、男性は「あの頃は若かったから」なんて弁解をしている。

なんか、自分も男なので、今より若い頃にどういう目線で女性を見てたかとかを思い出すと、若干笑えない気持ちにもさせられて、ぐいぐい心に響いてきた…。

男の行動にわかるわかると頷きながら、キャリー・マリガンが処刑人のように見えてくるという(^^;

加えて、この映画は、性被害の加害者男性だけでなく、それを見て見ぬふりをした女性や、傍観した大人に対しても、その是非を問うところも興味深い。

性被害の問題を男性優位のまま放置している世の中に対しての挑戦状になっていることが、作り方としてカッコ良くて、ロックな姿勢を感じました。

演出としてはポップでキュートだけど、内容は超ブラックで、まさに”毒入りキャンディ”。

途中、ちょっとだけ普通のラブストーリーっぽい展開になるのに、そんな甘さは残すわけないことが、終盤の怒涛の展開で明かされていく。

いや〜、、、本当、クライマックスがスゴすぎ!

この恐ろしさとこの爽快さ。同時に感じられるなんて、間違いなく傑作の技でした!
MURANO

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