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プロミシング・ヤング・ウーマンのfilmgramのレビュー・感想・評価

3.8
✍️斬新なレイプリベンジ映画
被害者が加害者となって復讐する、という設定は
よくあるリベンジ映画ですが、本作は直接的な
被害者ではなく、レイプが原因で自殺した親友の
ための復讐劇。重々しいこのテーマをコミカルな
アメリカンポップカルチャーと融合した革新的作品

✍️英國女性監督初アカデミー賞監督賞ノミネート
アカデミーで5部門にノミネートされ、中でも
監督賞でのイギリス人女性のノミネートは史上初

また、脚本賞を受賞も納得の斬新的なシナリオ。
コメディ×ロマンス×スリラーと展開されたように
一つのジャンルに捉われない巧みな脚本はお見事

✍️コメディ×ロマンス×スリラー
Charli XCX/Boysをバックに、ダンスする中年の
急所をアップで映すという、掴み抜群の本作。笑
中盤には薬局でラブコメのような雰囲気を漂わせ、
このまま彼女の幸せを願わずにはいられない中で
急展開を迎える怒涛のラストへ-

✍️秀逸な脚本
"リベンジ"対象が主犯だけでなく、当時現場で
見て見ぬふりをした同級生や弁護した弁護士、
もみ消そうとした学部長など罪なき傍観者達にも
制裁を加えるスリラーエンターテイメント。

本来、リベンジ映画は"リベンジするシーン"を観て
スカッとする快感を得るものと思いますが、本作は
あえてそうしたシーンを省くことでより観客達に
印象付けています。親友ニーナは名前しか出てこず
実際のレイプ描写、ライアンがどう関わったかなど
多くの描写を写さず、でも理解できる技巧的表現。

✍️5人目の記録
自動メッセージを送って医者の地位を脅かした
ライアンへか、主犯への復讐のカウントなのか。
これはニーナの死を救えなかった自分自身への
罰とも解釈できるのではと思いました。しかして
ニーナはどんなプロミシングな女性だったのか…

✍️つまりは
エンタメ性も高く、一方でジェンダーバイアスを
浮き彫りにする痛快エンターテイメントな本作。
作品自体の面白さとキャシーの演技力に満足ですが
私自身も"罪なき傍観者"として見て見ぬふりをして
加害者に加担してしまってたこともあったのではと
色々な考えを思い巡らせてくれる作品でした!
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