軽薄なカラーリングや曲選は、テーマの重さを隠すための巧妙なカムフラージュ。これぐらいのポップさがないと男の汚さを煮詰めたプロットはさすがに重すぎる。昨年観た”ラストナイト・イン・ソーホー”も主題や演出が類似しているのだけど、本作は男の醜さを言い訳することなく煎じ詰めている点が良かった。
ややもすると被害者目線の主観が入りすぎた演出になりかねないが、あくまでもキャシーを俯瞰で撮るカメラワークによって観客は過度な感情移入を促されない。だからこそ主観アングルの映像が効果的に働く。
あくまでも「傍観者として」醜悪な場面を目撃させられることに意味がある映画だと思う。
(「男の〜」と性差を指摘する書き方をしていますが、ミサンドリー的思想に基づくものではないことをお断りします。あくまでもこの映画は既存のジェンダーバイアスや、いわゆるトキシック・マスキュリニティへの批判が込められているのでそのように書いたまで)
追記;ちょっとキャリー・マリガンが怪演だったので、"Drive"のピュアな彼女を観て一旦落ち着きたい。