ヒムロ

プロミシング・ヤング・ウーマンのヒムロのレビュー・感想・評価

4.6
元医大生のキャシーは実家暮らしで恋人もおらず、カフェで働くパッとしない人生を送っている…かのように見える。
酔い潰れた所をレイプされ自殺した親友のニーナのために、夜には酔ったフリをして、持ち帰ろうとする男達に制裁を加える、それが彼女の夜の顔。
しかしかつての同級生ライアンと出会い純粋な恋に落ちたその時に、ニーナをレイプした男であるアルの婚約の話が飛び込んでくる。
ライアンと心の底から幸せに暮らすために、キャシーの最後の復讐が始まる。; )


ポップな題字でスタートした瞬間に心を掴まれた。
この美的センスというかクールな感じがめちゃくちゃ気が合いそうだなと思ったが間違いはなかった。
最後の最後まで面白い。

鮮やかでありながらネチッこい復讐の数々は、当事者ならその場で吐き気が上がってくるレベルにエグい。
ジャンルとして「スリラー」や「復讐物」と書かれているので勘違いしていたが本作にはグロいシーンが一切出てこない。
キャシーに一線を越えさせずに共感させるための配慮かもしれないが、個人的にはターゲットにしたい女性が見やすい絵作りになっているのかなと。
レイプシーンについても一切出てこないし、映像があるとキャラ達が見るシーンでもリアクションだけで通す。
これはかなり勇気のいる采配なんじゃないかと思うが、トラウマがある人への配慮か。
とは言え今の評判の感じでは一般女性が手に取らなそうな雰囲気があるのだが、何にせよ女性にこそ見て欲しい映画だった。

脚本も鮮やかで中盤、弁護士が出てきた所で一度歯止めをかけておいて裏切って最後に持っていく展開自体はこういう映画ではよく見る構成なのだが、弁護士がご都合主義ではなくきちんと話に絡んでくるのが素晴らしい。
あのシーンだけ見て「展開上作ったキャラ感がすごいなぁ」と残念がっていたら見事にそこまで裏切られた。

そしてなんと言ってもラストシーンでの長台詞が最高にセクシー。
映画の主人公としてキャシーを応援して大好きになってる観客。
そこへハーレークインの様なド派手なコスプレのまま冷淡に語る姿はやっぱりスリラー映画のヒールなのだと思い出させてくれる。

映画なので仕方ないがテーマやメッセージ性を考えるともう少しキャシーは美人じゃなく、普通やそれ以下の容姿でも良かった様な気もする。
どうせ男はヤれそうならなんでも持ち帰るだろうしね。
ヒムロ

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