ツクヨミ

選ばなかったみちのツクヨミのレビュー・感想・評価

選ばなかったみち(2020年製作の映画)
2.2
フラッシュバックしていく2つの"選ばなかったみち"。
ニューヨークに住んでいるレオは日常的に介護を受けなければ生きられないほど精神が衰弱している。そんなある日娘が通院のために訪れ…
精神又は知的に障がいを抱えた人々の内面を見つめた人間ドラマ。今作は現実世界と主人公レオがフラッシュバックによって見る2つの過去が同時進行する映画になっており少々わかりづらい点は否めない。しかし全編に渡って解説やナレーションも一切なく3つの時系列が同時に進行しクロスカッティングしていく様は個人的にはけっこう好みのスタイル。クロスカッティングのカット割でビジュアルマッチカットやセリフによるサウンドマッチカットが度々挿入される編集は実に映画的だ。
個人的にレオがフラッシュバックする2つの過去は主に"女性"に関することが共通していると感じた。1つ目は息子を成したが死んでしまった最初の恋人との道、2つ目は娘モリーと似ていて海岸で出会った女性との道。どちらかの道を選べば現在はまったく違ったかもしれないとフラッシュバックするレオの心境が語らずも伝わってくるラストはなかなか心に響くものがあった。
しかし少なからずもカタルシスがある映画ではあるが、何故か認知症又は精神弱者の現実話としても過去回想ドラマとしても弱いというか。何かひとつ足りないみたいな印象がある映画だった。
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