大金を手にしたら知らん人が寄ってくる現象

豪邸の主人が死亡。その遺産相続のためにやって来た娘は、「この屋敷1万ポンドで売れるよ？」「いや私は2万ポンド出すよ？」とか言われ、次から次に知らないオジサンたちが豪邸にやってくる。そんなハイエナたちの饗宴が楽しいコメディホラー。

更には16年会ってないママまで参戦！一体誰が豪邸を手にするのか…？そもそも何でこんな山奥の豪邸をそんな必死こいて欲しがるのか…？豪邸の使用人や、近くの宿屋でチェスやってる無害そうな老人たちも含め、娘と警察以外のキャラクター全員が確実に何か良からぬことを実行しているのに、誰と誰が組んでて誰が誰を貶めようとしてるのかを全く掴ませない思惑が入り乱れたカオス空間が堪らない！

そんなカオス空間で人が次々に死んでいくのだけど、Aが死体を運んでるところをBが目撃→Bが通報するのかな？と思いきや華麗にスルー。じゃあAとBは仲間？と思いきや全く仲間でも何でもない、むしろ敵？…といったことが10人ほどのキャラたちの間でそれぞれに起こっていく。更に、もしかして豪邸の主人は生きてるのでは…？な疑惑まで！😱複数の映画のプロットをいくつも同時進行させているかのようで、マジで何が何だかわからないほどに振り回され続ける！

オッサンが犬に噛み殺されるプロローグでの霧だらけなゴシックホラー的恐怖演出から一転、その死体を延々と固定カメラで映しながら赤と緑のカラフルなオープニングクレジットを上下左右いろんなところからクネクネさせながら流し、ポップな曲を合わせちゃうセンスがもうぶっ飛んでる。そういった豪邸を狙う奴らを嘲笑う演出を徹底していて、悪人たち（ほぼ全員だけど😅）をどこか滑稽に見せ、全員が自分にとっての最善の行動に徹していることとのギャップが楽しい！

基本的にはいわゆる昔ながらのオールドダークハウスもので、『地獄へつゞく部屋』のような仕掛けも！あとハマーの『恐怖』っぽい雰囲気もあった。ゴシックホラーとミステリーとコミカルさを絶妙な塩梅で融合させていて、二転三転していく中で物語の全容が最後の最後でわかってくるのだけど、出番が少なくても印象に残るようなキャラ付けがしっかりとされているので複雑なストーリーでも問題なく見られるこの時代にしてはすごく丁寧な作り。照明も的確だし、編集によって画面内の情報を奥・手前双方ともに観客に意識づけしていくような、独りよがりではない丁寧な画面構成も良かった！

そして、やって来た人がどんどん代金払わずに行方不になるから宿屋も大変で可哀想だった😂「この部屋に昨日今日泊まった人みんな行方不明なの」とか言われて普通に泊まる鋼のメンタルが凄い！私なら絶対帰る！

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