イマジンカイザー

劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックスのイマジンカイザーのレビュー・感想・評価

4.1
本公開から五ヶ月ずれてとなった本作品。歴代主人公集結作品だけで言えば短編作『ウルトラギャラクシーファイト』が存在するのですが、本作はその変身者たちに焦点を絞ったうえ、タイガの父、ウルトラマンタロウを絡めてうまくドラマを作っていたなと。

無印ウルトラマンギンガから早七年。ここまでの年数が経つとだいたいの特撮ヒーローは代役だったり声の出演止まりになるのが半ば通例ではありますが、本作はテレビシリーズ最終回と平行し、誰一人欠けることなく撮りきったところも含め高く評価されるべきなんじゃないかと。
出番の大小はあれど、客演七人それぞれに見せ場を用意できるのには圧巻。横並びの一斉変身シーンはこれまでの作品を追ってきた身としては大変感慨深かったです。

本編では殆ど描かれなかった、父としてのタロウも良し。番組を冠する六兄弟の中で唯一変身者が顔出ししないのもあり、やや扱いに不遇さを感じていたのですが、ここではシナリオの根幹に立っていて、息子のために奮闘する姿を見られてようやくすっとしたなと。

ラスボスのグリムドも、着ぐるみの時点でかなりのインパクトがありますし、終盤の合成と周辺セットを駆使した魅せ方はかなりの見ごたえでポイント高いです。

ただ、七十分という尺に八人の主人公がいるだけあって、どうしても主役以外の戦闘はおざなりになりがち、原典劇伴もメドレーでなくぶつ切り、ラストにおけるやり取りも、傍目には感動的なものの、テレビの方であまり積み重ねて来なかったのもあってなんとなく突き放された感がするのは気のせいか。

総じて良いところと悪いところがごっちゃになってるのはテレビシリーズ引き続きといったところ。それでも、タイガとタロウという父子の物語、それぞれウルトラマンの素面・変身で活躍を余すところ無く魅せてくれて感無量です。

この時勢、遅れてもなお上映に踏み切ってくれてありがとうございました。