都部

STAND BY ME ドラえもん2の都部のレビュー・感想・評価

STAND BY ME ドラえもん2(2020年製作の映画)
1.3
前作が酷評を受けて然るべき作品完成度だったので身構えていたのだが、脚本や構成の成立の為に時代錯誤感を感じる台詞を口にして歪な役回りを演じる人物達の挙動は変わらず、本作で加えられる原作を踏襲した改編要素が気の利いた風を気取っているようで死体蹴りに等しい味わいを加えているため本質的な完成度は前作とどっこいどっこいである。

端的にいえば『人間的な成長という避けて通れない過程の将来的な後回し』が前作では成されていた。それがドラえもんとの一時的な別れを経る成長譚の帰結に置かれていて、"後回し"だからこそ成長譚としては話が成立していないという評価だったのですが、今作のオチもまたそれと同じことをしているのはどうかと思われます。

本作で主軸となるのは人生の変わり目とも言える結婚の場で、人間的な不出来を晒す醜態を繰り広げるもなんやかんやでその甘さがなあなあに受容される展開はやっぱり成長の否定であり、女性キャラクターのとにかく都合の良い立ち回りを際立たせる結果を招いている。自分の為の未来改編という都合を前提にした物語なので、オリジナル要素のジャイ子の結婚祝いのイラストのグロテスクさとか気付きそうなものなんですけどね……ニセコイの小野寺小咲を思い出す役回りなんですよね。中心人物の幸福的結末の為に献身的な姿勢を演じるキャラクター。

こんな男と結婚して上手くやれるわけないだろと。

時代が交錯する本作のオリジナルストーリー部分がそれに対する説得力を大きく補強しているという事情もあって、かろうじて前作では独り立ちの毛を見せていた未来ののび太が今ののび太とそう変わらない愚かしい言動を展開するのは物語の破綻に他ならない。これは歪な前作の続編事情で引き継がれた問題点がそのままになっているからこそで、不連続なそれも時代背景が異なる感動的な物語を無理に接合したことで一貫性すらない語り部が完成している。同時にその語り部に合わせた物語は、映画としての一貫性を確保出来ていない。

それらしい言動と話の流れの集合体であるという致命的な欠点が拡張されているという点で前作よりも酷いという部分は否めない。
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