ナショナル・シアター・ライヴ 2020 「プレゼント・ラフター」のなーまるのレビュー・感想・評価

前半で説明・組み立てた世界が、後半のはちゃめちゃで壊れていく、お芝居として綺麗な型で面白かった。
ギャリーの性格はユングが基礎を提唱した所謂『16タイプ診断』の『エンターテイナー』そのものだと思った。

・注目を浴びたがりの社交好き
・目の前の快楽に飛びつき、義務や責任を怠りがち
・恋愛についても飽き性

参考
https://www.16personalities.com/ja/esfp型の性格

大スターのパーソナリティーを描ききっている点も素晴らしかったです。

(以下ネタバレを含みます)

最初はちょっと、オーバーすぎると感じた演技も、芝居じみたスターの私生活を現してるのだと理解。本人の心からの言葉も演技だと見做され真剣に取り合ってもらえず、本人も自分がスターの私生活を演じているのかどうかさえわからなくなって混乱しているように感じた。
スターという一般人と違う生活を歩んでいるので周りから理解されないのも納得だが、ファンは自分の理想を押し付けギャリーの孤独を救えるのは自分だと言い張るのが、可笑しく悲しい。
孤独感をファンからの愛でいっとき癒せたとしても、本当に愛していると言って欲しい妻からは聞けない。
ラスト、妻からアフリカへの同行はビジネスだと言われた後、窓の外を見ているのは自殺を連想させでドキッとする印象的なエンディングでした。(ギャリーの部屋はロンドンのマンションのペントハウスと思われる。)