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17歳の瞳に映る世界のすずやのレビュー・感想・評価

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)
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Beach Ratsのエリザ・ヒットマン監督の映画としてめちゃくちゃ良かった…考えれば考えるほど味のある、彼女の撮ろうとする一貫性を色濃く感じた1時間半だった。
エリザ・ヒットマン監督が描こうとしてたのは、「男性性に蹂躙される犠牲者」の物語だったのだろうなと思う。主体性を奪おうとしてくる男性に抗え、そういう強さと同時に、「あなたは母になるんだから」という、「女性らしさの押し付け」にも抗うものだったのがなるほどなと思った。Beach Ratsは「ホモソーシャルで周縁化されたゲイの物語」だったから、そこからの関連で「枠づけようとする世界を許すな」という強いメッセージ性をも感じ取れた。

「女性同士が支え合う、連帯する」と見せかけて、実は「女性も一枚岩ではなく、さまざまな女性がいる」という視座をしっかり持っているのがとても力強く思えた。シスターフッドへのカウンターをちゃんと自分で作ってる。母になることを望む人が居れば望まない人もいて、あるいはそもそも異性愛者でない女性もいる。その視座がとても、女性である監督の視座なんだろうか?と思わずにはいられず。オータムと従弟の彼女だって、女性であることは同じかもしれないけどまったく同じ人間ではないのだから、という視座がとても好きだった。
多分、監督が次に作るとしたら女性同性愛者の映画なんじゃないかな、って思ってるし、彼女がレズビアンをどう撮るのかとても気になる。

ちなみにいつになったらBeach Ratsがまた日本で観られるんだろうね…
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