ほのか

17歳の瞳に映る世界のほのかのレビュー・感想・評価

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)
3.9
制作総指揮にバリージェンキンスいてるやん!!キャストロールで彼の名前見つけた瞬間が1番テンション上がった。バリージェンキンスが関わってると思うとすべて、すべて納得がいってしまう映画。この人がつくる作品の空気感、ほんまにすき。リズム感や色合いや香りだけで泣いてしまいそうになる。











⚠️ネタバレしとる



この映画はオータムの話で彼女に起こった出来事と従兄弟との旅の話だけど、オータムが自身を語らないのは、彼女が概念でもあるからかなって、そんな感じがしました。
この道を選ぶとわかってるから強いる男たち、選ばされてしまったけど結局選んだのは自分だから何も言えなくて、とにかくこの柵から逃れたい一心で考えることをやめてしまった女の子、なんだろうなと私は思ったけど、観る人によって掴むところが全く変わっててもむしろそれが良いことで、自分自身を投影できる余白をたくさん作ってるんやなあって思った。
気持ちが溢れてしまうところだけが個性でてたと思う。ぼんやりしてたこれまでの道がはっきりする感じ。なにも話さないのは自分を守るため。これ以上壊れないため。始めから終わりまでずっとギリギリで、たぶんそれはこのお話が終わった後も解決してない。

と、いうか。キャラクターのあれそれを明かしていくことお話が進んでいくんかなと思ったけどそれがほとんどなかったのまじですごい。ここまでキャラクターの個性を削って削ってほんまに最低限の情報だけを残して、あとは明かさなくても、飽きる瞬間が全くなく釘付けになってしまう映画ができるのか……。


スカイラーほんまなにもん??優しさとか、そんなん生ぬるいな。彼女自身の絆されやすさもあるけど自分だったかもしれない、の恐怖ゆえっていうのもあるかな。
オータムは地獄の淵にいて、彼女ひとりだったらそのまま堕ちてしまっていたかもしれなくて、でもそれを目の当たりにしたスカイラーにも引き上げるだけの知恵も力も財力もないからただ彼女を淵に留めるためにオータムの手を引いて、渡り終わるまでただ側にいた感じ。ひとりで居ることを許さず、居させることを恐れ、寄り添ってたんかな。
あの瞬間、思い出すだけで鼻の奥がツーンとする。オータムがスカイラーを見つけて、指を絡めた瞬間。ほんまに悪循環の極みみたいな行動の末で、何もかもが間違ってると思うけど何に怒ればいいんかもわからんくて、ただあの瞬間を受け入れるしかないの辛かった……。
(やけど画は美しいんやから参った。)



NYに出てきて、誰しもに不信感を抱いてしまう場面、辛いほどわかってしまう!誰も自分を見てないって冷静になればわかるんやけど、なんか見下されてる気がする。お願いやから興味を持たないでほしい……無関心でいてほしい無機物だと思ってほしい……、やけど助けてほしいし受け入れてほしい…。