あんず

17歳の瞳に映る世界のあんずのレビュー・感想・評価

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)
3.8
職場で盗撮に遭った同僚がショックで休んでいた。証拠がないため犯人に何の処分も与えられず、ようやく彼女が復帰出来るようになったのに、出社停止(犯人と会わないように)させられ、なぜか彼女が悪者のような扱いを受けていた。暗に辞めるように圧力をかけられ、耐えられなくなり辞めることになった。それを聞いて耐えられず、私は何か抗議しようと思ったけど、彼女からやめてくれと言われ、諦めるしかなかった。やりきれない気持ちで、映画館へ駆け込んだ。

けど、余計にモヤモヤした。そういう感じの作品だろうとは思っていたけれど、女性であることのしんどさを目の当たりにした。

暗くて救いようのない作品は、嫌いじゃない。先日観た『象は静かに座っている』やどうしようもない家族の危機を描いた『家族を想うとき』なども観ていて辛いけれど、監督からのメッセージのようなものに救われたり、胸が熱くなるのだけど、今作はあまりに説明が少なくて(敢えてなのだろうが)、こちらの想像力や感度、知性や意識の高さに委ねられる部分が多い気がして、あれこれ考えるのに疲れてしまい、素直に共感出来る部分が少なかった。もっとコンディションの良い日に観たら、違った感想になったかもしれない。

オータムのような子がいるのだろうし、選択を否定する気もない。むしろ、誰でもない自分の意志で決められたこと、それに協力してくれる人たちがいたことは良かった。一方で男性の下心を利用して必要経費を調達するというのは、結局、女性であることを利用していて悲しいけれど、そんなしたたかさも含めて17歳のリアルかもしれない。NYへの若手女優2人の旅の熱演は間違いなく素晴らしかった。
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