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17歳の瞳に映る世界のTAKAのレビュー・感想・評価

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)
4.2
⭐非ホラー映画レビュー 5ー5🌟

アカデミー賞に絡むと思われたが、残念ながらノミネートはなかったものの、自分の中では昨年公開作の中でトップクラスの忘れがたき作品です。

この作品には2つの側面があり 未成年者の中絶問題、そして17歳の女子2人のロードムービーの側面。

同じ国でありながら州によって中絶に対する考え方が天と地ほどの違いがある事を知る事ができ、それでもどちらが正しいかなんて誰にもわからないと思う。
ただこの映画の場合 ニューヨーク州の対応が主人公オータムの未来に微かながらも光を与えた事は事実だろうとも思う。

この二人が映画内で交わすセリフの少なさよ!それがとても新鮮でリアルで 本当に傷ついた心を癒すのは 空疎な言葉では無く、ただ寄り添う事かもと、教えてくれる。

観客には明確に知らされる事の無い真実を共有した二人の短いながらも濃密なNYへの往復の時間がとても身に染みる傑作でした。

この作品の原題 Never Really Sometimes Always これはオータムが中絶手術をする前の検診でのドクターからの質問なのですが、それによって仄めかされる心の闇の深さに心底暗澹な気分にさせられます。 それでも2人は生きていかなければいけないし、寄り添ってくれる人が1人でもいれば何とか生きぬいていけるのでは・・・と切望しました。
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