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17歳の瞳に映る世界のプレコップのレビュー・感想・評価

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)
4.1
冒頭から展開される男子生徒間のホモソーシャルや父親、バイト先の店長への嫌悪感をはっきりと見せている。ミュージシャン志望の青年の、外堀からトークする感じのリアルさもとても印象に残った。そんな中で、個人的には病院で見せられる、時代錯誤甚だしい「残酷な真実」なるビデオを映し出す演出で、のちに出てくる保守キリスト教の抗議と合わせて、当事者意識のない人々への淡々とした批判がはっきりと打ち出されている。

白眉なのはやはり中盤の長回しで、形式的な質問は突き放されたような感覚と、すこしの安心感を表現している。また、カウンセラーは鼻にピアスをしていて、ここではオータムも人に寄り添う立場になれるかもしれないという希望も示唆させている。

ニューヨークの冷たさと地下の不安、フィルム撮影によるあたたかさが両立されており、しかしドライな視点と淡々とした語り口がこちらにも突きつけられるような一作。
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