ふじこ

17歳の瞳に映る世界のふじこのネタバレレビュー・内容・結末

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

望まぬ妊娠をしてしまった17歳の少女オータムが、堕胎に親の同意が必要のないニューヨークへ従姉妹であるスカイラーと一緒に向かう。
静かな数日間のお話。

従姉妹の子が美人で優しいのだけれども、男たちに言い寄られても強く拒絶する事ができないタイプなのかな?
バイト先ではキモ店長に手をニギニギされたり、オータムと一緒にニューヨークへ向かう途中声を掛けられた男には連絡先を教えちゃうし…。彼女は彼女で危なっかしいなぁって。

お金は掛かるし、1日で終わるかと思いきや検査やら堕胎手術自体に2日もかかるし、泊まるところを病院で紹介してくれそうだったのに断ったオータムの心の機微はなかなか難しいなと思う。こんな境遇になった事ないしな…。結果的にスカイラーが犠牲を払う事になって可哀想だった。けど、お願いします とも言えないなんともこの…モヤモヤ感だけは分かる気がする。"そこまでじゃない"みたいな気持ち…。何が と言われてもなんとも言えないけど、まだそこまでじゃない って気持ちだったんじゃないかな~~どうかな~~。

最初にオータムが行った病院では週数を少なく知らされて、危なく堕胎できない週数まで騙されそうだったのも酷かったなあ。堕胎は殺人である みたいなビデオまで善意を装って観せられるし、産んで育てるのはお前じゃないだろ!って気しかしないわ。養子に出せば?とかナイスアイディアの代替案みたいにお出ししてくるパターンもあるけど、一生自分の産んだ子供がこの世のどこかにいる って思い続けなきゃいけないような気持ちを17歳に背負わそうとするなよ とも思う。勿論そんな事忘れちゃう女もいるんだろうけど、忘れようのない重しを簡単に背負わせようとする"自愛に満ちた感"のあるヌルい感じがとても嫌だった。
選ぶのはあくまでオータム自身だし、17歳で一人妊娠検査にくる少女のご家庭を想像すらしないんだろうか。

最初なんで親父があんな態度をとるのかが分からなくて困惑したけど、下の子達の小ささを見るに義父なのかな?
そして、子供の父親について全く語られない(セックスを強要されたと質問に答えるシーンはある)けれど、もしかして義父なのかな?それとも冒頭のステージで"メス犬!"と野次ってきた同年代の男なのかな…。
どちらにしても、実子にあんな態度を取る男と一緒にいて更に子供まで儲けてるんだから、母親もいい親じゃなくって可哀想だった。

全体的に薄暗くって、あんまり希望に満ちてなくて、この先も辛いことばっかり起きそうで、ただ眼の前の大きな問題をやっと一つだけ解決出来たかなぁって感じの映画でなかなか切ない一本だった。

本編と全く関係ないのだけれど、大声で他人を野次る文化ってなんなんだろう。もしかしてこういうのが"仲間内でウケる=面白い"って感性なのかなあ…全く分からん。
ふじこ

ふじこ