政治難民の少年が主人公の実話だけれど、登場人物達の優しさもあって悲壮感なく観られる。
ファヒムはあっという間にフランス語や西洋の文化を習得していくけれど、もともとの頭の良さに加えて子供ならではの柔軟性もあって観ていてとても気持ちが良かった。
チェスクラブの他の子供達との仲の良さも微笑ましい。
それに反して父親のヌラはフランス語もなかなか覚えられず、仕事も真剣に探す風ではなくて観ていてなんだかな…という気持ちになった。
ただ、難民支援センターにいれば衣食住には不自由しないわけで、そのぬるま湯状態が心地良いという気持ちは理解できるし、最後はファヒムのために行動する姿に胸が熱くなった。
映画のラストでファヒムは家族をフランスに呼ぶことができたけれど、公式サイトを見ると現実のファヒムのフランス国籍取得のための道のりはまだ長いらしい。
彼がチェスの才能を存分に活かせる環境が早く整ってほしいと願わずにいられない。
092 / 2020年