misuzuさんの映画レビュー・感想・評価

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TATAMI(2023年製作の映画)

4.2

実際のエピソードから着想を得ており、スポーツものではなく社会派に位置づけたい作品。
スポーツに政治が立ち入ることの恐ろしさが103分にギュッと詰め込まれている。
ポスターにも書かれている「ただ、勝ちた
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名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN(2024年製作の映画)

4.0

ボブ・ディランは代表曲として挙げられる、いわゆる有名どころの曲を知っている程度だけれど、そんな私でも「本人!」と思うほどティモシー・シャラメはディランそのものだった。
音楽に保守的なものを求められるこ
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ANORA アノーラ(2024年製作の映画)

3.7

アカデミー賞5部門受賞。
しかし、良作と思うものの脚本賞の受賞は意外な気がした。
言葉のどつき合い映画で何度となく声を出して笑ってしまったけれど、特に前半は冗長で盛り上がりに欠けているように感じた。
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ノー・アザー・ランド 故郷は他にない(2024年製作の映画)

4.2

イスラエルのガザへの侵攻の状況は、遠く離れた日本でも日々ニュースを通して伝えられている。
ホロコーストを経験したユダヤ人が今度は自分達が加害者となっている不条理さは全く理解することができないし、世界中
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ブルータリスト(2024年製作の映画)

4.0

映画だからこそできるを存分に堪能できる映画。
他の方もレビューされているけれど、まるで実話かと思うような作り込みがすごい。
懐が深いフリをしているだけで実は排他的なアメリカの在り方だったり、リアリティ
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僕と彼女のファースト・ハグ(2020年製作の映画)

3.7

世界観が可愛くほっこりするラブコメ。
ツッコミどころはファンタジーとして捉えるのが正解。
極度の潔癖症で人との関わりが持てないバオ・バオ。
初めは文字通り色のないモノクロの世界に生きていた彼が、ウェン
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セプテンバー5(2024年製作の映画)

3.7

1972年のミュンヘンオリンピック。
平和の祭典の最中に起きたテロ事件を生中継した放送クルーの視点から描いた作品。
実話ということもあり非常に見応えがあった。
ドイツで開催されイスラエルが参加するとい
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聖なるイチジクの種(2024年製作の映画)

4.2

期待以上の良作。
大袈裟でなく監督やキャスト、スタッフは命懸けでこの映画を作っており熱量の高さが作品の随所に伺えた。
前半はイランの社会的な事件や問題などの現状が描かれており、日本とは文化や風習が全く
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ロックフィールド 伝説の音楽スタジオ(2020年製作の映画)

4.0

ウェールズにある世界初の滞在型音楽スタジオであるロックフィールド。
設立者であるチャールズとキングズリーの兄弟をはじめ、スタジオを愛し数々の名曲や名盤を作り上げてきたミュージシャン達のインタビューを収
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愛を耕すひと(2023年製作の映画)

3.7

心温まる穏やかな物語を想像していた自分が甘かった。
厳しい自然との闘いとそれ以上に人間の残酷さが余すところなく描かれており、かつ実話とあって観ていてつらくなる場面が多かった。
アンマイ・ムスが幸せにな
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野生の島のロズ(2024年製作の映画)

4.0

愛すること、助け合うこと、認め合うこと。
生きる上で大切にするべきことを真っ直ぐに描いた王道の物語だからこそ心に響く。
動物達の生き生きとしたリアルな姿や、まるで実写のような美しい自然の風景は目を見張
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ザ・レディ・イン・オーケストラ: NYフィルを変えた風(2023年製作の映画)

3.7

今年のアカデミー短編ドキュメンタリー賞ノミネート作品。
ニューヨーク・フィルハーモニック初の女性団員となったオリン・オブライエン。
55年間所属し87才で退団した彼女の功績を描いている。
両親がハリウ
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名前のノート(2023年製作の映画)

3.7

『ハイパーボリア人』と併映の短編映画。
チリのピノチェト政権下で誘拐などにより行方不明となった若者達の名前が次々と読み上げられていく。
シンプルだからこそ作品に込められたメッセージが強く心に響いた。
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ハイパーボリア人(2024年製作の映画)

4.0

ナチスを信奉していた外交官でもあったミゲル・セラーノとピノチェト政権下の政治家の1人であったハイメ・グスマンを登場させ、チリの現代史の暗部を独特な手法で描いた作品。
前作の『オオカミの家』のストップモ
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武道実務官(2024年製作の映画)

3.7

劇中で扱う犯罪が子供への性犯罪なので観ていてキツい場面もあるけれど、ジョンドや彼の周りにいる人達がみんな正義感に厚く勧善懲悪ものなので最後はすっきりとした気持ちになる。
キム・ウビンがとにかく魅力的で
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ミス・シャンプー(2023年製作の映画)

3.7

一昔前の少年漫画のようなラブコメ。
マフィアの親分であるタイは、敵に追われる自分を助けてくれた美容師見習いのフェンに一目惚れする。
下ネタも多めだけれど、タイの一途な恋心とそれを応援するタイの子分達の
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ザ・ルーム・ネクスト・ドア(2024年製作の映画)

4.0

ほぼジュリアン・ムーアとティルダ・スウィントンの2人による会話劇。
2人の演技が素晴らしく飽きることがない。
生と死という重いテーマながら軽やかさがあり、考え過ぎずに観ることができた。
ペドロ・アルモ
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ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた(2022年製作の映画)

4.0

実話ゆえ派手さはないけれど、家族愛に満ちた心温まる作品。
ドニーの才能を信じ全力で応援する父と兄の姿に感動した。
劇中でドニーが実際に作った楽曲が流れるけれど、自分の好みにも合っていたこともあり鑑賞後
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blur:Live At Wembley Stadium/ブラー:ライヴ・アット・ウェンブリー・スタジアム(2024年製作の映画)

4.2

あなたはblur派?それともoasis派?
どちらであっても楽しめる最高のライブフィルム(ちなみに私はoasis派)
全力でプレイするバンドに応えるように、笑顔を見せ時に感動の涙を流す観客達。
その姿
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リアル・ペイン〜心の旅〜(2024年製作の映画)

4.0

ユダヤ人のデイヴは亡くなった祖母の遺言により、兄弟のように育ちながらも今は疎遠となった従兄弟のベンジーとともに祖母の祖国であるポーランドを巡るツアーに参加する。
旅を通してデイヴとベンジーはそれぞれが
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スカイウォーカーズ: ある愛の物語(2024年製作の映画)

3.7

超高層建築に不法に侵入し頂上でセルフィーを撮影するルーフトッパー。
カップルで活動するヴァーニャとアンジェラに密着したドキュメンタリー。
無謀ともいえる挑戦を続け人気インフルエンサーとなった2人だけれ
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満ち足りた家族(2024年製作の映画)

4.0

利益優先の弁護士の兄と道徳的な医者の弟。
傍から見れば裕福で完璧なふたつの家族がある事件をきっかけに崩壊していく。
事件を境に兄弟の倫理観が逆転していくけれど、キャストの熱演もありリアリティを感じられ
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雪の花 ―ともに在りて―(2025年製作の映画)

3.7

江戸時代に天然痘の根絶のために尽力した町医者・笠原良策の伝記映画。
種痘(予防接種)のため奔走した笠原だけでなく、多くの無名の人達の協力があってこそ天然痘の撲滅に繋がったことをこの映画で知ることができ
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ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件(2023年製作の映画)

3.7

トニー・レオンとアンディ・ラウの再共演が観られただけで満足度はかなりある。
作品としてはテンポは良いものの印象的な場面が少なく、イマイチ盛り上がりに欠けていたように感じた。
中盤ではコメディ風の演出も
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トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦(2024年製作の映画)

4.2

親子愛、師弟愛、友情にアクションと2時間余す所なく楽しめる胸熱娯楽大作。
80年代の良い意味でギラギラしていた香港の風景が再現されているところが良かったし、あの頃を代表する俳優であるサモ・ハン・キンポ
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アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方(2024年製作の映画)

3.7

ドナルド・トランプを「作った」ロイ・コーンとの関係を中心に、若かりし頃のトランプの姿を描いた伝記映画。
偉人とは異なり何事かを成し得た人物ではないので感銘を受けることはなく、正直、内容があるとは言い難
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セキュリティ・チェック(2024年製作の映画)

3.7

前半の犯人との心理的な駆け引きはやや冗長に感じたけれど、後半のアクション中心の展開になってからはおもしろく一気に観た。
ツッコミどころはあるものの空港を舞台にしたスケールの大きさもあり、映画館で観た方
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ビーキーパー(2024年製作の映画)

4.0

安定のジェイソン・ステイサム無双映画。
テンポが良く、お腹いっぱいアクションを堪能できるのでラストまであっという間。
既視感のある物語やツッコミどころも逆に愛せるほど観客の観たい気持ちに100%応えて
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劇映画 孤独のグルメ(2025年製作の映画)

4.0

長尺の映画だからこそドラマの部分もしっかりありつつ、それでもいつもと変わらず胃袋を満たす五郎さん。
長年主演を務めてきた松重豊さんが監督だからこそ作れた愛ある映画だと思った。
クロマニヨンズの主題歌も
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Brother ブラザー 富都(プドゥ)のふたり/アバンとアディ(2023年製作の映画)

4.0

血の繋がりはないけれど共に親がおらず兄弟として暮らしているアバンとアディ。
身分証明書を得られない彼らは仕事や住居の選択肢がなく、希望のない生活を送っていた。
そして、ある事件を境に2人はさらに救いの
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カルキ 2898-AD(2024年製作の映画)

3.7

インド神話の要素を取り入れたSFアクション。
プラバースさん演じるバイラヴァが飄々としながらもかっこいい。
2部作の前編のため壮大な導入部という印象で、回収されていない謎も多かった。
アクションも含め
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型破りな教室(2023年製作の映画)

4.0

実話を元にした文句なしに素晴らしい感動作。
治安や貧困などの過酷な環境下でも学ぶことを心から楽しむ子供達の姿がキラキラと眩しく見えた。
それでも解決できない問題を抱えている子もおり、厳しい現実も描くこ
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I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ(2022年製作の映画)

4.0

自分のことばかりのローレンスに最初は共感できなかったけれど、彼の度を超えた映画愛の強さも含めそれは大切な人を失った孤独感からきているのかなと思った。
周りの大人達が彼を見離さず受け止めてあげているとこ
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リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

4.0

ケリー・ライカート監督の長編デビュー作。
どこにも行けない何者にもなれない人達の物語。
全く救われないのに晴々としたラストの余韻が深い。

人生って、素晴らしい/Viva La Vida(2024年製作の映画)

3.7

シリアスな場面もあるけれど、コメディ的なエピソードやリン・ミンとリュ・トの漫才のようなやり取りで重さを感じさせない。
難病ものではなくラブストーリーとして観るのが正解のように思えた。
感動よりも今を楽
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アット・ザ・ベンチ(2024年製作の映画)

4.2

寂れたベンチを舞台に5つの短編を集めたオムニバス作品。
ep1の2人は生まれた時から一緒の幼なじみだけれど、会話だけで2人の幼い頃や学生時代までもが想像できた。
ep5ではep1のその後が描かれ、今度
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