misuzuさんの映画レビュー・感想・評価

misuzu

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まだ明日がある(2023年製作の映画)

4.5

イタリア映画祭2024にて鑑賞。
大好きな映画『これが私の人生設計』で主演を務めたパオラ・コルテッレージの初監督作品ということで楽しみにしていたけれど、期待を遥かに上回る素晴らしい映画だった。
家父長
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人間の境界(2023年製作の映画)

4.2

不勉強ゆえベラルーシとポーランドの国境で現在も起きている問題を、この映画で初めて知ることも多かった。
政情不安により命がけで祖国を脱出し、ようやく辿り着いた亡命先であるポーランドでも国同士の緊張・対立
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人生の最初の日(2023年製作の映画)

4.0

イタリア映画祭2024にて鑑賞。
自死を選んだ4人の男女は本当の死まで7日間の猶予を与えられる。
自分の人生を振り返り、生きるはずの未来を垣間見た彼らは生と死のどちらを選択するのか。
重いテーマながら
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.0

願わくばこの作品の感想を上手く言語化できる能力がほしい。
大きな事件が起きるわけではないのに、巧みな脚本で退屈することなく文字通り時間を忘れて物語に引き込まれた。
106分があっという間。
ラストの急
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ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

3.5

SNSで話題になっていたので鑑賞。
ファンアートが描かれるなど熱心なファンが付いたことも納得のエンタメホラーだった。
悪魔憑きの物語としては王道で期待を裏切らないけれど、予想外にバディものとしても楽し
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愛しのタチアナ(1994年製作の映画)

4.2

おしゃれでもかっこ良くもない。
気の利いたセリフもない。
でも、アキ・カウリスマキの映画みたいな恋愛はみんな憧れる。

マンティコア 怪物(2022年製作の映画)

4.0

感想を書くことがとても難しい。
物議を醸す内容や淡々とした展開で、決して手放しでおもしろいとは言えない問題作。
それでも終盤のある場面とその後のある人物の行動が心から離れない。
随所にカルロス・ベルム
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異人たち(2023年製作の映画)

4.2

アンドリュー・ヘイ監督の類まれなる才能が堪能できる。
深い余韻が残る期待を裏切らない良作。
死者との対話というファンタジーながら、孤独とそれを癒す人の温かさや愛の描き方に嘘がなく胸にグッときた。
演技
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パピチャ 未来へのランウェイ(2019年製作の映画)

3.7

おしゃれをしたい。
好きな服を着たい。
そんな当たり前のことすら叶わず、自分らしくいようとするためには命の危険すらある。
ネジュマがアルジェリアの伝統的な布・ハイクをファッションショーで使うことを決め
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アウトフィット(2022年製作の映画)

4.0

オーダーメイドの紳士服店を舞台としたワンシチュエーションドラマ。
日本では劇場未公開の隠れた名作。
ある程度のオチは予想できるものの何度か訪れる危機的状況にはハラハラしたし、終盤のマーク・ライランスの
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金の糸(2019年製作の映画)

3.7

壊れてバラバラになってしまった陶磁器を繋ぎ合わせ修復する金継ぎ。
その日本の伝統工芸から着想を得たジョージアを舞台とした人間ドラマ。
人は誰も長い人生の中でいくつもの出会いや別れを経験するけれど、その
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ラブリセット 30日後、離婚します(2023年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

ラブコメというよりギャグ映画で、思わず声を出して笑ってしまう場面も。
2人のうち1人だけが記憶を取り戻す展開もあまり観たことがなかったので新しく感じた。
荒っぽく酒癖も悪いナラが魅力的に見えるのは、チ
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.0

大きな出来事が起こるわけではないのにドラマチック。
いくつもの出会いと別れを経験し、もしあの時、今とは異なる決断をしていたら…。
そんなことを考えたことがある大人なら心に深く沁みる物語だと思う。

0
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0

クリストファー・ノーラン監督作品だけあり期待は裏切られなかったものの、淡々とした展開と長尺でさすがに終盤は集中力が途切れた。
伝記映画として観たので原爆の描写については可否なく。
それでも原爆開発への
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アイアンクロー(2023年製作の映画)

4.0

プロレスは詳しくなく、フォン・エリック一家もこの映画がきっかけで知ったくらいだけれどとても良かった。
映画の前半では順風満帆の一家の姿が描かれるけれど、後半はドミノ倒しのように不幸が連なる。
観ていて
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ブルックリンでオペラを(2023年製作の映画)

3.7

大人のラブコメ的な印象の予告とは全く異なる、様々な愛を描いた人間ドラマ。
期待以上の良作。
演技派のキャストが揃い、予想外のややシリアスな展開もあり物語に引き込まれた。
その中でアン・ハサウェイ演じる
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RHEINGOLD ラインゴールド(2022年製作の映画)

3.7

ファティ・アキン監督による実在のラッパー・Xatar(カター:クルド語で危険な奴の意味)の伝記映画。

Xatarことジワの両親は有名なクルド人音楽家であったが、イスラム革命をきっかけに活動家となり投
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ペナルティループ(2024年製作の映画)

3.7

荒木伸二監督の前作『人数の町』も発想のおもしろさや独自性があったけれど、それは今作にも当てはまる。
一言で表せばタイムリープものだけれど、予想外の展開で物語が二転三転し最後まで目が離せなかった。
中盤
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.7

1作目はそれほどハマらなかったけれど、続編に当たる今作は今年ベストクラスで良かった。
ポールが真の救世主となる過程を丁寧に描いているため、数多のエピソードが綴られていく。
それでもセリフは多くなく、表
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12日の殺人(2022年製作の映画)

4.0

フランスの地方都市で実際に起きた殺人事件を基にした作品。
映画の冒頭で未解決事件とクレジットされているように犯人当てのサスペンスではなく、事件を捜査する刑事達の姿を描いた社会派ドラマ。
被害者であるク
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DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)

4.0

他者への深い愛情や優しさを持ちながら両親からも見放されたダグラス。
彼を愛し寄り添ったのは犬達だけだった。
リュック・ベッソン監督による良質な社会派人間ドラマ(ややアクションあり)
主演のケイレブ・ラ
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テルマ&ルイーズ 4K(1991年製作の映画)

4.0

ずっと観たかった映画なので映画館で4K版を観られて満足!
最初はテルマの言動に共感できなかったけれど、逃亡の旅が進むにつれルイーズとのお互いを支え合う関係に2人を応援しながら観ていた。
ラストも本当に
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共謀家族(2019年製作の映画)

3.5

ツッコミどころは多いものの主人公が知恵を使って殺人を隠蔽し、警察の追求を幾度も逃れる展開はテンポも良くとてもおもしろかった。
それゆえテイストも変わりあっけなさを感じるラストには拍子抜け。
主人公が映
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リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシング(2023年製作の映画)

4.0

ロックの創始者として数多のミュージシャンに影響を与えたリトル・リチャードの伝記映画。
黒人であるため長きに渡り功績が認められず、私的にも敬虔なクリスチャンであることとクィアであることに自身で折り合いが
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ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)

3.5

マシュー・ヴォーン監督作品ということでやや期待しすぎたかも。
二転三転する物語は先を読ませずおもしろかったけれど、テンポがあまり良くなく没入することができなかった。
後半の監督らしい派手なアクションは
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Fair Play/フェアプレー(2023年製作の映画)

3.7

競争の激しいヘッジファンドで同僚として働くエミリーとルーク。
会社には内密にしているものの交際は順調で2人は婚約する。
幸せの絶頂にいる2人だったが、予期せぬエミリーの昇進でその関係が少しずつ壊れてい
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マダム・ウェブ(2024年製作の映画)

3.2

ありがちな物語と薄い人物描写でSSUの今後が心配になるほど。
予知というマダム・ウェブの能力的にアクション作にはならないわけで、だからこそこの映画ならではの個性や見所がもっとほしかった。
MARVEL
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ネクスト・ゴール・ウィンズ(2023年製作の映画)

4.0

実話ベースの物語にタイカ・ワイティティ監督らしいユーモアのある王道スポ根ドラマ。
おもしろさが保証された笑えて泣ける良作。
やはりこういう強者ではないふつうの人達の物語が大好きだ。
弱くても奇跡を起こ
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.2

法廷を舞台とした会話劇かつ人間ドラマ。
非常に見応えのある作品だけれど、それゆえ一度の鑑賞だけでは全てを把握しきれなかったように感じた。
機会があれば再見したい1本。
人間とは多面的であり他者に見せな
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ソウルメイト(2023年製作の映画)

4.0

デレク・ツァン監督作品『ソウルメイト 七月と安生』のリメイク。
アレンジを加えつつも大筋は変わらず、こちらも感動的な素晴らしい作品となっている。
オリジナルは3人の関係が情熱的に描かれていたけれど、韓
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スケアクロウ(1973年製作の映画)

3.7

午前十時の映画祭にて鑑賞。
アメリカン・ニュー・シネマの時代の監督や俳優は好きだけれど、アンハッピーエンドがお約束のようなこともあってアメリカン・ニュー・シネマ自体はそこまで好みではない。
それでもこ
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スウィート・シング(2020年製作の映画)

3.7

扱っているテーマやストーリーは重いけれど温かさも感じられる作品。
モノクロの映像がとても綺麗で、これは映画館で観たかったなと思った。
実父であるアレクサンダー・ロックウェル監督作品ということで、ビリー
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梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

4.0

17世紀の『仁祖実録』に記された歴史の謎に巧みにフィクションを織り交ぜたサスペンス。
世子が怪死して以降は物語が一気に加速し、手に汗握る展開続きということもあり本当におもしろかった。
特にポスターのシ
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.0

アリ・アスター監督の頭の中はどうなっているの!?と思うような、独創性に満ちた悪夢。
母から子への眼差しは慈愛に満ち見守るものではなく徹底的な監視であり、愛と支配は表裏一体である。
監督がかなり熱心にオ
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ソウルメイト/七月と安生(2016年製作の映画)

4.0

韓国版リメイク公開前にオリジナルを鑑賞。
『少年の君』のデレク・ツァン監督作品ということで期待していたけれど、素敵なシスターフッド映画だった。
サスペンス的な雰囲気もあるけれど、最後のどんでん返しや伏
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Firebird ファイアバード(2021年製作の映画)

3.5

時代やソ連のお国柄によって、ロマンとセルゲイが自由に愛し合えないことに胸が痛んだ。
特にロマンは軍人という職業柄、常に監視されており大袈裟でなく命の危機もあるような状況。
それでもルイーザと結婚しなが
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