緑

罪と女王の緑のネタバレレビュー・内容・結末

罪と女王(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

これはいい胸クソ映画。
朝観て夕方までムカムカできた。
当分は思い出しムカムカに困らない。
またすぐに観たいとは思わないけれど、
そして人生で一度もそんなことは起きていないけれど、
いいことが続きまくって戒めないと明日死ぬかも! くらいの
日々が続いたらまた観たい。

まず、初っ端からひどい。
旦那の前妻が育てていた未成年の息子・グスタフを引き取る。
前妻と息子の暮らしぶりは描かれていないが、
息子が荒れて前妻の手に負えなくなったという話で
恵まれた生育歴ではなさそうなことが窺える。
なのに迎える旦那と主人公である今の妻・アンネと
双子の娘という4人の家族がハッピー全開。
いたたまれない!!
自分が幸せではない生活をしていた時間、
こいつらこんな絵に描いたような
裕福なハッピーライフ送ってたのかよ……ってなりますよ。
それで馴染めったって無理ですよ。
無神経すぎる。鬼か。

グスタフによる空き巣偽装騒動なんかもありつつ、
それでもどうにかこうにか馴染んできたと思ったら
欲求不満の熟女の魔の手が忍び寄ってくるわけですよ。
ガールフレンドを家に連れ込んだグスタフ。
そのままヤッちゃうにしても
声は漏れないようにしなさいよ……とは思った。
で、その声で盛りがついたインテリ熟女のアンネが
グスタフとの距離を縮めていく。
アンネがタトゥを入れたのは、
施術のときにグスタフが自分に
触れてくれるからという理由だったに違いない。
この辺から、配給は日活? 新東宝? FANZAだったっけ?
という雰囲気が醸し出されてきた。

ここで止まっておけばよかったのに
発情が活性化したアンネは
文字通り上で下で咥え込みに行ってしまう。
受け入れたグスタフも悪いけど据え膳もいいところだしな。
1回ヤッたらあとは何度でも同じなわけで、
家の中でもヤリまくりになるわ、
ホームパーティでグスタフの節操がなくなるわ。
もちろんバレるのは時間の問題。

アンネの妹にバレる
→アンネ、グスタフに関係終了を告げる
→旦那、グスタフとの親子関係修復のためふたりで山小屋へ
→グスタフ、旦那にバラす
→家に戻った旦那、アンネに詰問
→アンネ、逆ギレの激ギレで旦那を丸め込む
→グスタフ、寄宿学校に矯正送致
→グスタフ、山小屋で凍死自殺
……ひどい!!!!
アンネが無慈悲すぎて、
映画のタイトルに「女王」があって、
読んでもいないのに「月は無慈悲な夜の女王」を思い出した。

それにしても胸クソだわ。
アンネの身勝手さはそこかしこで描写されていたけど、
グスタフへの追い詰め方、キッツイわー。
身勝手の極みが、グスタフの死を知って泣くところ。
この世で一番泣く資格ないのはあんたでしょうに!

事後にグスタフからのインタビューを
テープに撮らせていた詰めの甘さを以ってしても
アンネに微塵も共感できなかったことが有難い。
下手に理解できるようなシーンを作らず、
胸クソに徹底してくれたことで
この映画の印象が後々まで強烈に残る。
胸クソだけど嫌いじゃない。
むしろ映画としては好印象。

途中でハイソな方々の雑談に出てきた
カエルが大量に爆発して肝臓が抜かれていた話にオチがなく、
三谷幸喜の「赤い洗面器の女」を思い出した。
あと、私が知る限り日本人はカエルの肝臓を好んではいない。
日本ってデンマークに於いてどんなイメージなのさ……。
それと、アンネの顔が中村うさぎに似て見えて、
国を問わず王室関係なく女王と称される人って
共通してこういう顔立ちなのかなと思ったりもした。
緑