Sari

ノロワのSariのネタバレレビュー・内容・結末

ノロワ(1976年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

女海賊モラグが、死んだ弟(本当は恋人?)の仇を討つために孤島の島を占拠する海賊団の女リーダーに復讐をする物語。
『デュエル』に続き、対決するふたりの女性を描く〈火の娘たち〉4部作の第2作目に当たる。もともとは西部劇として構築されていたとあり、フランスのブルターニュ沿岸と17世紀に再築された城といった壮観な景色の中で繰り広げられる、女海賊劇といった感じだろうか。
モラグを演じるのは、チャールズ・チャップリンの長女であり、『カラスの飼育』などに出演したジェラルディン・チャップリン。
(結んでいた髪を下ろすとワンレンボブ、大ぶりのピアス、艶のある濃紺とパープルのグラデのチュニック、黒スキニー、ウエスタンブーツというクールな海賊コーデ)
海賊団のリーダーには、ヌーヴェル・ヴァーグ監督に愛された女優ベルナテッド・ラフォン。ラフォンは全身ピンク(ショッキングピンクのサテンブラウスに、ピンクの革ジャケット&ベルボトム)という、グラマラスな海賊コーデが最高。
時折、けたたましい笑い声を上げながらオーラたっぷりに演じていた。
リヴェット作品は毎回女性の衣装が煌びやかで魅力的だが、ロケーションに合わせて、洋服の色だけでなく質感まで拘って選んでいるのが分かる。

今回の特集で日本初公開された三作の中で最も舞台・戯曲的と言うべき作風。
劇中劇で、中世と現代、虚構と現実が複雑に交錯してゆき、怪しい舞踏が繰り広げられる終盤にゆくにつれて面白くなる。カラーからモノクロ(サイレント)、赤のモノクロへと暗転するコントラストを効かせた映像も魅力。
ラストは、何と二人が刺し合ったと思ったら笑い合って倒れるのがヌーヴェル・ヴァーグの巨匠の遊び心である。

今回のリヴェット特集、一週間あっという間に終わってしまった。

2022/06/03 名古屋シネマテーク
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