好奇心をビンビンに刺激され気持ちよく「面白かった!」と言える作品でした。
アイコンとして知ってはいたけど、喋る三島由紀夫の魅力たるや。
自信に満ち溢れ、学生の言うことを決して否定せず、まず受け止めてから哲学をベースに持論を展開する。これ見惚れないの無理でしょう。
対する学生側でフィーチャーされるのが芥正彦氏。この人凄い。三島を圧倒してしまう鋭さ(自分の顔を見たら日本人だと感じるだろうと論じる三島に「つまんねえから帰る」と言い放つこの緊張感たるや)があるし、学者でもないのに現在の知の巨人ぶりは何事!?と驚愕しました。学会外にこんな人がいるのか。
哲学の知識をベースにした論戦なので難しいなと思う局面は多いが、平野啓一郎、内田樹、橋爪大三郎と豪華布陣が丁寧に解説(翻訳)してくれるので理解できないってことはない。
この渦中で話をする勇気はない。けどこの中で通用してみたい。そういう気を起こさせる知の磁場でした。