ちゃりお

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実のちゃりおのレビュー・感想・評価

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最初は冷やかし程度の怖いもの見たさで、この映画を再生した。そして途中までガハハと笑って見ていた。和やかで知的でユーモアのある討論を楽しんでいた。

しかし、芥さんが退場したあたりから辛くてしょうがなくなった。三島由紀夫を哀れんでしょうがない。これほど自分を客観視し、全てを言語化できていて、なおそれを曲げられず、相手が自分の立場を受け入れられないことを誰よりも知りながら、堂々と立っている。それは三島由紀夫本人が一番辛いことだろうと思うと憐憫の念や、戦争という環境がもたらす影響の強さというものを感じざるを得ない。

その一方で現象という言葉が哲学的な文脈で自然に理解される時代にどうしようもない嫉妬を覚えた。こんなドイツみたいな状況が日本にあったんだな、と羨ましく思った。

50年目の真実とは情熱であるというのは客寄せパンダ的な結論だ、と思う一方で、その真実は当時の方が実践できていた、というのは辛い現実である。