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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実のZUSHIOのレビュー・感想・評価

4.6
三島由紀夫ファンの自分からすると、50年目の真実というほどの新情報は勿論無いのだけれど、今までメディアに流れてなかった肉声部分がリアルで凄く良かった。
内田樹氏と平野啓一郎氏が指摘していたとおり、三島氏は全共闘の学生の揚げ足取りや論理破綻を突くような議論は一切しておらず、右も左もなく、反米愛国的に「無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない、或る経済大国」に我慢ならないという学生たちとの一致点があったことは明確に分かった。
そして、結局は東大全共闘の学生たちもそういう日本に自らが埋没したことを自覚しているのを、現代のインタビューは如実に炙り出していた(芥氏は除き)。
映画館には、全共闘現役世代の方々が多くて、最前列で観た私には討論会を疑似体験したようだったが、最後には三島由紀夫氏の学生たちへの「優しさ」しか残らなかった。
そういう意味では「VS」ではなかったように感じた。
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